研究課題/領域番号 |
19K03233
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
木下 まゆみ 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (40404909)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 集団討論 / 視線配布 / 判別 / 機械学習 / 過程評価 / 統計的ネットワーク分析 / 活性化 / 同期性 / 身体動作 / コミュニケーション / 発言順序 / 理解深化 / 発言機会 / ネットワーク分析 / 聞き手 / 発言の質 / 協同学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、集団討論における協同的な知識構築の要因として聞き手の視線に着目し、複数の聞き手が同時に話し手を見るという同期性が、1つの発言を発端として発言が重ねられていく連鎖をもたらし、議論の質を高める過程を明らかにする。 初年度の研究1では、集団討論での発話開始前後での視線配布の同期性を確認する。次年度の研究2では、視線配布の同期性と発言の連鎖および議論の質との関連を明らかにする。そして、最終年度の研究3では、同期性の促進方法の開発に向けた探索的研究を行い(研究3)、集団討論の効果的実施に関する具体的な手続きを提示する。
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研究実績の概要 |
研究目的①:前年度の研究において、集団討論での均等な発言が議論の質の高さと関連する可能性が示唆された。今年度は、討論の評価方法として統計的ネットワーク分析を実施し、議論の質との関連を検討する。方法:討論の録画データの中から、発言権の移動が生じやすいステップ4(話題の理解)、ステップ6(話題の適用)の動画それぞれ2本を分析対象とし、GUP検定(推移性の有意性検定)を行った。結果と考察:ステップ4の動画2本の推移性は、.85、.51、ステップ6の2本の推移性は、.78*、.66であった。研究代表者とコーダーにより、それぞれの動画における討論の方向性を決定づける発言の頻度を評価し、4つの中で最もその頻度が多かった討論場面で有意な推移性が認められたことから、特定の参加者に偏らない均等な発言が議論の質を高めることが示唆された。さらに、この結果から、推移性が集団討論の質を反映するものであり、討論の過程評価の指標の1つになることも考えられる。
研究目的②:視線配布のコーディングについて、表情計測ソフトと機械学習の活用により、その自動的判別を試みる。方法:人物の正面顔を撮影した動画を用い、表情計測ソフト(OpenFace)を通じて視線の方向性データを得た。また、同一の動画に関してコーダー2名が視線配布(正面を向いているか否か)を判定した。コーダーによる判定を教師データとし、機械学習による判別を行った。結果と考察:訓練データ80%、テストデータ20%とし、5つの判別モデルの正解率、適合率、再現率を求めた。 その結果、k近傍法(それぞれ 79.29 %、74.70%、81.58%)、ランダムフォレスト(79.88% 、77.63%、77.63%)の2つが他よりも高い数値を示した。コード化の基準改善などで各種指標を向上させる必要があるが、自動的判別の実用可能性は十分あると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により集団討論を実施できない状況が続いてきたが、状況が改善し、データ収集が可能になった。今年度の研究によって視線配布のコーディングが自動化できる可能性が示された。また、討論のプロセス評価として、これまで報告してきたネットワークの次数中心性などの記述的指標に加え、それら指標の統計的検定も活用できることが示され、当初の計画進度より遅れはあるものの、今後の研究に有用な知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
視線配布の自動判別に関する機械学習を検討し、より高い精度のモデルを見出す予定である。また、前年度指摘したように、注意伝搬効果の1つとして参加者間の視線配布の同期性を検討する。これらの要因と、発話内容および討論プロセスとの関連を検討し、聞き手の視線配布が討論の活性化に与える影響について検討する。
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