研究課題/領域番号 |
19K03248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 中村学園大学 |
研究代表者 |
野上 俊一 中村学園大学, 教育学部, 教授 (30432826)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 知的好奇心 / 最近接知識獲得モデル / ズレ低減モデル / 知識量 / 興味 / ハイブリッドモデル / 動機づけ |
研究開始時の研究の概要 |
知的好奇心が生じる心理的過程を心理学実験と質問紙調査によって,知的好奇心の生起過程モデルである「ズレ低減モデル」と「最近接知識獲得モデル」の適用範囲を明らかにする。 【実験】参加者に新情報を学習させる際に,それぞれの情報に関連する事前知識量を操作し,関連知識がほとんどない情報よりも一定程度ある情報を選好するか否かを視線計測と情報アクセス量,内省報告によって検証する。 【調査】主に大学生を対象に,人格特性としての知的好奇心や不確定志向性や曖昧さ耐性といった変数が,知識量の異なる領域の学習内容への興味関心,それらの領域での学習行動や探索行動とどのように関係しているかを複数回の質問紙調査で検討する。
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研究成果の概要 |
本研究課題では,知的好奇心の生起に対して,認知的葛藤を必要とせず既有知識への新情報の関連づけを中核の生起過程とする「最近接知識獲得モデル」の妥当性を実証的に検討した。児童を対象とした調査では開放性特性の高低に関わらず既習内容よりも未習内容を選好することが明らかになった。大学生を対象にした調査では意味理解しやすい風景画と意味理解しにくい抽象画の鑑賞行動の内実に差があるかを検討した結果、抽象画の鑑賞において知的好奇心高群は絵画に描かれていない作者の意図に言及する特徴があった。最近接知識獲得モデルの妥当性は十分に示されなかったが、課題状況や個人特性との交互作用を検討する課題が明確になった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学習者は「分からないこと」の全てを「分かりたい」というわけではない現実を踏まえ,知的好奇心の生起プロセスとして認知的葛藤を必要としないモデルとして「最近接知識獲得モデル」を作り,その妥当性を検討した。調査結果はモデルの妥当性を支持せず,従来型のズレ低減モデルで説明できることを示した。一方で,開放性や好奇心といった個人特性によって対象へのアプローチの仕方に差があることや認知処理のしやすさ(ease of processing)と好奇心の関連が予想され,認知心理学および教育心理学における学術的課題を示した。
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