研究課題/領域番号 |
19K03256
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平石 賢二 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (80228767)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 青年-両親関係 / 親子間葛藤 / 葛藤解決プロセス / 中年期の心理的危機 / 中年期の発達課題 / 青年ー両親関係 / 中年期の親 / 青年期の子ども / 親子間葛藤の解決プロセス / 相互信頼感 / 中年期 / 青年期 / 親の夫婦関係 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究においては,青年期の子どもと中年期の親との親子間葛藤の内容及びそれが生起するメカニズムについて生物心理社会的モデルに基づいた検討を行う。また,親子間葛藤の解決プロセスについて生涯発達心理学的観点から検討する。 研究方法としては,まずはじめに半構造化面接による語りの分析から概念モデルの仮説生成を行い,続いて,その仮説的な概念モデルを質問紙調査による定量データの分析によって実証的に検討する。
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研究実績の概要 |
今年度の研究実施内容は主に以下の2点である。 1.オンライン調査の実施:①調査目的:青年期の子どもの子育てを経験した親を対象にして,自由記述式の質問紙調査をオンライン調査会社を通じて実施し,青年-両親間葛藤とその解決プロセスに関する実態把握とそれに基づく概念モデルの構築を探索的に行うことを目的とした。②研究協力者:子育て経験のある成人1044名のうちデータ使用許可が得られた828名(男性416名,女性412名,平均年齢60.8歳,レンジ31から88歳),③調査内容:デモグラフィック変数,親子間葛藤とその解決プロセス(最も印象に残っている親子間葛藤のエピソード,親子間葛藤が生じた原因,解決に至るまでの経過と親自身がとった行動,解決の促進要因と阻害要因,親子間葛藤とその解決のための経験がもたらした態度などの変化),④分析方法:KH Coder3を用いたテキストマイニング(抽出語,共起ネットワーク,KWICコンコーダンスに基づく分析),⑤結果と考察:親子間葛藤の経験者は77.7%であり,経験しない親子も相当数いることが分かった。親子間葛藤の経験がない人たちの回答からは,子どもが素直で育てやすかったなどの子どもの特徴とお互いに個人として尊重して必要以上に干渉しなかったという親の養育態度の両方の要因が背景にあることが窺われた。親子間葛藤のエピソードに関しては,勉強,受験など学校関連のものが多く報告された。また,葛藤解決方略としては「信頼して見守る」という態度が多い傾向が認められた。 2.研究成果の発表:研究成果の発表としては,日本発達心理学会第34回大会において,「青年期の親子関係-新たな研究の視点について考える-」を主題としたラウンドテーブルを企画し,そこで話題提供者として「親の視点からみた青年-両親間葛藤とその解決プロセス」というテーマで調査データの分析結果の一部を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は開始年度(令和元年度)当初より新型コロナウィルス感染拡大への対応等により研究計画の実施に遅延が続いていた。令和4年度では研究計画調書で計画していた面接調査(研究Ⅰ)に代替する方法として,自由記述式のオンライン調査を実施した。調査回答の情報量は多く,少人数を対象にした面接調査では得られない可能性がある幅広い意見を収集できたことは研究成果である。しかし,現段階では自由記述データの分析はまだ完了していない。自由記述データの分析目標は,親の視点からみた青年-両親葛藤を解決するための認知・情動的,行動的対処に関する概念化である。また,そこで得られた仮説的概念モデルを測定するための心理尺度を作成することが次の目標として設定されていた。さらに,研究課題の最終段階は,研究Ⅱとして,親子間葛藤解決プロセスに関連する要因(子ども側の要因と親側の要因)を明らかにする調査を実施することである。以上,研究Ⅰでは一定の成果が得られてはいるが,まだ途中であり研究Ⅱの実施,完了に至っていない点から,やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,研究期間をさらに1年間延長し,次年度に研究Ⅰの完了および研究Ⅱの調査計画と実行を行うことにする。研究Ⅰに関しては既にデータ収集は完了しているため,自由記述データの分析により仮説的構成概念モデルを構築する作業を次年度の前半(8月頃)までに完了する予定であるが,並行してその仮説的概念モデルを測定するための心理尺度作成の開発に取り組む。また,開発した心理尺度については,尺度の因子構造,信頼性(内的整合性)を検証するための調査を実施する。続いて,次年度の後半(10~11月)には研究Ⅱの調査を実施する。調査Ⅱの目的は親子間葛藤解決プロセスに関連する要因(子ども側の要因と親側の要因)を明らかにすることである。調査Ⅱは青年と両親の双方を対象にしたオンライン調査(調査会社への委託)を実施する。調査Ⅱのデータ収集後(12月)は直ちにデータ分析に着手し,研究Ⅱの結果を最終報告書の形でまとめる。研究Ⅰの研究成果のまとめは研究Ⅱと並行して行い,年度末までに最終報告書としてまとめる予定である。なお,研究Ⅰ,研究Ⅱの成果は適宜,学会大会で発表をする。
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