研究課題/領域番号 |
19K03273
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
近藤 恵 (有田恵) 大阪医科薬科大学, 医学部, 准教授 (40467402)
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研究分担者 |
下田 正弘 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50272448)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 死生観 / 生涯発達 / 死生観教育 / ターミナルケア / グリーフケア / 遺族ケア / 悲嘆ケア / 生を問う / 仏教的生死観 / 生涯発達心理学 / エンド・オブ・ライフケア |
研究開始時の研究の概要 |
欧米主導で構築されてきた生涯発達心理学では、死から切り離された生と、他から分離された個を前提とし、個人の生における身体機能の成長を軸とした発達に着目してきたため、死にゆく人の精神の深化を発達として捉え、考察の対象とすることはほとんどなかった。本研究は、生を死から分断せず、個を他との関係性において捉える仏教的生死観を生涯発達心理学に取り込むことによって、①死に向かう心身の変化を、個人ではなく他者との関係性との発達という視点から捉えなおし、②その成果をターミナルケアや死生観教育に応用することによって、死生を取り巻く諸問題の解決に新たな見通しを得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、生を死から分断せず、個を他との関係性において捉える仏教的生死観を生涯発達心理学に取り込むことによって、①死に向かう心身の変化を、個人ではなく他者との関係性の発達という視点から捉えなおし、②その成果をターミナルケアや死生観教育に応用することによって、死生を取り巻く諸問題の解決に新たな見通しを得ることである。本来の最終年度であった本年は、成果発表を中心に行った。 心理学分野の視点からは、人の発達過程の最終段階である死に至る過程の当事者の心理状態とそのケアについて執筆を中心に行った。『臨床心理学ガイドブック』においては、臨床現場での実践の基礎となるように、ターミナル期における死に逝く者の苦悩について、関係論の立場から論じ、また、従来、あまり取り上げられることの少なかった難病患者のケアについても言及した。また、日本の葬送儀礼の変容についての論文を執筆し、葬送儀礼がグリーフケアに及ぼす影響について、論じ、葬送儀礼の意味の変容と共にその重要性について発信した。 また、本研究の柱の一つであるターミナルケアは、倫理観が問われる場でもある。インド仏教の視点からは、仏教思想が現在思想や倫理とどのような共通点を持つのかについて、学会発表を中心に行った。 これまでの研究成果を発展させ、グリーフケアにおける仏教思想の汎用を試みるため、新たなフィールド研究に着手した。幼少期に親を亡くす経験を持つ者へのインタビュー研究をもとに、仏教思想の有限、無限について議論を深めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画時は新型コロナウイルス感染症が世界的に広がる前であったため、病棟でのフィールドワークを中心に研究を進める予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、フィールドワークを実施することが難しくなり、文献研究を中心とした研究計画の変更を余儀亡くされた。しかしながら、心理学分野、仏教分野、両分野において、研究代表者と分担者が研究を積み重ね、それぞれの分野において成果発表を積み重ねてきた。そうした成果をもとに、新たに、1年、研究期間を延長し、遺児研究を進めることとなり、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、生を死から分断せず、個を他との関係性において捉える仏教的生死観を生涯発達心理学に取り込むことによって、①死に向かう心身の変化を、個人ではなく他者との関係性の発達という視点から捉えなおし、②その成果をターミナルケアや死生観教育に応用することによって、死生を取り巻く諸問題の解決に新たな見通しを得ることを目的としている。目的①については、これまでの年度で成果を発表してきた。今後については、②の死生観教育への応用を考えて、新たに幼少期に親を亡くす体験をした者へのインタビュー調査を行い、グリーフケアへの応用についても言及していく。
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