研究課題
基盤研究(C)
申請者は,これまでに各年代において,認知行動的な技法を用いたユニバーサルレベルの予防プログラムの介入研究を行い,ストレス反応や抑うつの改善,問題行動の減少を確認してきた。その一方で,症状・問題の軽減,改善といった“治療的効果”は,確認できたものの “予防効果”の中核をなす保護要因の習得・向上については検討できていないという課題も見えてきた。そこで本研究は,小中学校における長期的な継続した予防介入が,レジリエンスを習得・向上させ,子ども達に将来の心と体の健康を守る術を習得・向上させることができるか,そしてその長期的効果を測定することを目的として研究を進める。
本研究は,研究期間(2019-2022)に介入研究の対象者およそ200名,縦断調査研究に関してはおよそ400名のデータを蓄積した。介入研究は,認知行動的な介入技法によるプログラムを実施した。結果から,抑うつ症状やストレス反応の軽減,そしてレジリエンスの向上といった効果が示された。また縦断調査研究は,小学生を対象(2-5年生, 3-6年生)に2年間6時点のデータ収集を行なった。この研究データは国際学術誌Journal of Cognitive therapy and Researchに公表した。結果から児童の抑うつ感にネガティブ自動思考,ポジティブ自動思考の影響が強いことが示唆された。
先行研究と私たちが行ってきた学校現場における臨床心理学研究は,ストレス反応や抑うつの軽減といった“治療的効果”は,確認できたものの “予防効果”の中核をなす保護要因の習得・向上については検討できていない。本研究は,“治療”にとどまらず“予防”つまり心身の不調から個人を保護する要因である保護要因の習得・向上を目的とした。本研究は保護要因の中でも子どものレジリエンスに着目し,認知行動的な技法が子どものレジリエンスを向上させるかを検討した。解析の結果からレジリエンスの向上が示され,学校現場での子どもの予防的介入としての認知行動的プログラムの有効性が示唆された。
すべて 2022 2021 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
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