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ASD児と養育者の情緒的かかわりの理解と把握のための実証的アセスメント法の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K03299
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分10030:臨床心理学関連
研究機関大阪人間科学大学

研究代表者

堤 俊彦  大阪人間科学大学, 心理学部, 教授 (20259500)

研究分担者 諏訪 絵里子  目白大学, 心理学部, 専任講師 (40707692)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード情緒応答性 / アタッチメント / 自閉症スペクトラム障害 / 母子交互作用 / 母子相互作用 / アタッチメントQソート法 / ADHD / 情緒応答性(EA) / アタッチメントQソート法(AQS) / ASD児 / 情動応答性尺度 / Q分類法 / 発達障害
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は、ASD 幼児と養育者を対象にアタッチメメント上のリスクとなる徴候を見出すための実証的なアセスメント法を検討することにある。まず、健常児と養育者の相互的な影響をEASによる情緒的側面から評価し、その結果をQ分類法による評価と比較する。次に、ASD児と母親のEASを実施し、信頼性と妥当性を確認するとともに健常母子のデータと比較する。加えてアタッチメントの多面的理解のために、子どもの発達や向社会性、親のストレスなどの評価を行う。これらの結果を、ASD母子と健常母子を比較検討することで、ASD児と母親の情緒的交流の特徴を、包括的な視点から理解し把握するアセスメントのあり方を検討する。

研究実績の概要

ここ2年間はコロナ禍でのさまざまな影響が引き続き残りながらも、本年度は5組の発達障害の診断のある子どもの母親と幼児の情緒応答性をEmotional Avairability Scale:EAS)のアセスメントを行うことが可能となり、EASとPVT、KIDS及びCHEDY、CBCLと関連について検討することができた。結果は、PVT、KIDS、そしてCHEDYの指標である社会的コミュニケーション困難さなどのいずれの下位尺度においてもEAとの有意な関連は見られなかった。一方、CBCLでは母親のEA合計と引きこもりで有意な相関を示すなど、母親と子どもの関わりにおいて、無理に何らかの行動などを強いるのではなく、子どもの主体性を重視し、二人の間の相互交流を成立させる母親の情動交流の対応が、子どものひきこもりを減じることが可能であることが示された。またEAの高さと非侵入性、及び非攻撃性が高いスコアを示していた。これらの結果から非侵入性のスコアの高さは、母親は子どもに主体感を与えつつ活動や行動を促すことがうまく行っているということが言える。すなわち、子どもが何かと困難を感じる場面においても、侵入的・攻撃的に関わることなく、子どもの主体性を重んじて関わることで、子どもは様々な活動に自信を持って行うことができるため、自分の内部にひきこもるような行動が減らされるのではないかと考えられる。母親の非侵入性及び非攻撃性がひきこもりを減じる可能性を見い出したという傾向は、現場での支援につなげることができる注目すべき結果と言える。
23年度は、5組のみの分析ということで統計学的な効果としてはものたりないものがあるものの、24年度以降は測定数を増やしていく計画をたてており、研究が進むに伴い徐々に明確な効果が示されるものと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

本年度は3年延長申請した後の最終年度となる。2021年度、2022年度の2年間はコロナ禍での感染予防の観点から母子相互作用の観察は困難であった。23年度は、コロナ禍からの影響はさまざまな形で引き続き残っていたが、観察研究を依頼していた児童施設における感染予防の方針がゆるやかになるため、本格的な観察研究を実施することが可能となった。そのため、本研究の目的である、母親(養育者)と子どもの相互作用場面のアセスメントにおけるEASの実証性をより明確な形で把握することが可能になると考えている。コロナ禍での影響は大きくさまざまな測定条件にも微妙な調整を行わざるをえなかったため当初の研究計画からは修正が必要となった。本年度の研究を進めることにより、母親の関わりが子どもの行動にどのような影響を及ぼすのかについてより実証的なアセスメントを行うことにより、発達障害の子どもをもつ養育者及び家庭の支援のためのカウンセリングのあり方にも言及できるものと考えている。

今後の研究の推進方策

本年度は3年延長申請した後の最終年度となる。ここ2年間はコロナ禍でのさまざまな影響が引き続き残り、児童施設における感染予防の方針などにより観察研究を実施することが制限されてきた。24年度は本格的な観察研究を再開する計画をたてていると共に、子どもの言語能力に関しては、これまではPVTを用いて簡易に評価してきたが、今年度は、母親のメッセージを受け取るという視点から、実証性の高い言語聴覚的なアセスメントを加えてEASとの関連性を検討していく予定である。2024年度は、観察研究を行う制約がすべて解除されることにくわえて、母子の情緒交流性についてより多角的な視点からの検討が可能だと考えている。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 自閉スペクトラム症幼児と母親の相互作用の特徴 - 情緒応答性に着目した検討 -2023

    • 著者名/発表者名
      金平希・諏訪絵里子・堤俊彦・谷本智佳・辻圭位子
    • 雑誌名

      子どもの健康科学 51-64,

      巻: 25 (1) ページ: 5164-5164

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 幼少期の注意欠如・多動傾向と母子間の相互作用場面における情緒応答性2022

    • 著者名/発表者名
      金平 希・諏訪 絵里子・辻 圭位子・谷本 智佳・堤 俊彦
    • 雑誌名

      福山大学こころの健康相談センター紀要

      巻: 4 ページ: 1-11

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 自閉症スペクトラム児の養育者の情緒交互作用理解の実証的アセスメントの検討2021

    • 著者名/発表者名
      堤俊彦・金平希・諏訪絵理子・川村祐未・水谷ナナミ
    • 雑誌名

      大阪人間科学大学紀要

      巻: 20 ページ: 70-79

    • NAID

      40022713823

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] 日本における情緒応答性研究の動向と課題2021

    • 著者名/発表者名
      金平希・諏訪絵理子・堤俊彦・谷本知佳・辻圭位子
    • 雑誌名

      福山大学人間文化学部紀要

      巻: 21 ページ: 26-41

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [学会発表] 自記式情緒応答性尺度日本語版の作成および因子構造の検討2024

    • 著者名/発表者名
      金平希・姜英愛・諏訪絵里子・朝枝清子・堤俊彦・辻圭位子・福留広大 ・中野美奈・湯澤正通
    • 学会等名
      日本発達心理学会第35回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ASD の幼児とその母親の情緒応答性の様相2023

    • 著者名/発表者名
      金平希、諏訪絵里子、堤俊彦、谷本智佳
    • 学会等名
      日本発達心理学会第34回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 母子相互作用場面における情緒応答性の様相― 定型発達児とその母親について ―2020

    • 著者名/発表者名
      金平希・諏訪絵里子・堤俊彦・谷本智佳
    • 学会等名
      日本発達心理学会
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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