研究課題
基盤研究(C)
成人における注意欠如・多動症患者には,気分障害が38.3%,物質使用障害が一般人口の3倍も見られる。米国のADHDによる仕事上パフォーマンスの推定損失は年間195億ドルに相当するなど課題は多岐にわたる。治療ガイドラインでは,機能障害に対処するための集団認知行動療法が推奨されているが,治療者を養成する教育研修がないため成人ADHD患者の治療の受け皿は不足している。本研究では,成人ADHD患者を対象にした集団認知行動療法を実施する治療者の教育研修システムを構築する。
本研究では、成人期の注意・欠如多動症患者を対象にした集団認知行動療法の実施に必要な臨床スキルをセラピストに身につけてもらうための研修体制の構築を目指した。その結果、講義およびロールプレイ演習を含む集合型研修およびその後のスーパービジョンという二段階の方式が完成した。スーパービジョンは、他の疾患と比較すると、より注意欠如・多動症の患者への理解と行動課題の設定に焦点づけ、臨床スキルのみならず組織内での体制づくりや連携などの課題もカバーしながら総合的に実施する必要のあることが明らかになった。
認知行動療法の研修はこれまでもうつ病をはじめとした各疾患別に実施されてきたが、成人期の注意欠如・多動症の患者集団を対象にしたものは初めての試みであった。本研究で得られた知見により、研修内容をブラッシュアップして普及していくことで、注意欠如・多動症の臨床を担う専門家が増え、日本の注意欠如・多動症患者の受け皿が拡大するであろう。
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