研究課題/領域番号 |
19K03311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
清水 健司 広島国際大学, 健康科学部, 准教授 (60508282)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 強迫傾向 / アクセプタンス / 体験の回避 / 認知的統制 / 対人ストレッサー / ACT / 認知的フュージョン / 反すう / 省察 / パネル調査 / 認知行動療法 / 強迫症傾向 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、一般健常群における強迫症傾向の簡便な評価ツールを使用し、国内外での稀少な強迫症アナログ研究の端緒となること、そして暴露反応妨害法(不安統制対処)とACT(アクセプタンス対処)における介入有効性の比較検討から、強迫症の適切な予防策提示および治療戦略の洗練化に明確な実証エビデンスを与えることにある。
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研究実績の概要 |
今年度の研究実績としては,ストレス状況下におけるネガティブ思考の低減に資するスキルである認知的統制と,対人関係の摩擦から生じる負担である対人ストレッサーが,どのように強迫傾向に影響するのかを検討することであった。認知的統制とは,主に抑うつの低減に効果を持つスキルとされ,状況を客観的に分析して積極的に解決に取り組むスキルとされる論理的分析と,混乱的な思考の暴走から一定の距離を置くことができるスキルとされる破局的思考の緩和の2側面が想定されている。同じく抑うつ低減に効果を発揮するスキルではあるが,具体的な対処方略としての性質は同一ではないと考えられる。いずれのスキルが強迫傾向の低減に有効なのかを実証的に分析する。 そのため,強迫行為傾向(Time2)を従属変数とし,まず年齢・性別・強迫観念傾向(Time1)を投入(Step1),そして認知的統制(論理的分析or 破局的思考の緩和)と対人ストレッサー(Time2)の主効果項を投入(Step2),最後に交互作用項を投入(Step3)した階層的重回帰分析を行った。その結果,強迫行為傾向において,1ヶ月前の強迫観念傾向の高さは,その後の増幅に大きく影響することが示され,その上で抑うつ低減スキルである論理的分析が,たとえ対人ストレッサーが低い場合にあっても強迫行為の増幅に影響することが示唆される結果となった。これは抑うつ低減に資するはずの論理的分析が,強迫傾向では状況を客観的に分析しようとする意図が確認行動を増加させることを示す。ストレス状況下では,自分の置かれた環境を冷静に整理することで,新たな建設的思考を生むことが可能になる。しかし,強迫傾向では,その整理作業が自分の至らなさを改めて再発見させる可能性につながることが示唆され,この点については今後更なる検討が必要であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響もあり,実験的検討は見送らざるを得ず,研究の進捗においても影響を受けていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
実験的検討が困難になることを見越して,今後はWEBによる調査研究を充実させることを念頭におき,当該課題を前に進めてゆくことが可能と考えている。
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