研究課題/領域番号 |
19K03312
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
|
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
幸田 るみ子 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30384499)
|
研究分担者 |
笠井 仁 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (80194702)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 死別 / がん患者遺族 / 複雑性悲嘆 / ミーニング・センタード・サイコセラピー / 悲嘆 / 緩和ケア / 遺族 |
研究開始時の研究の概要 |
がん患者家族は、患者と同様に精神的負担を抱えており、10~30%に何らかの精神医学的診断がつくという報告もある。しかし家族、特に患者を亡くした後の遺族への支援は不十分な現状にある。 近年、がん患者や緩和ケアで働くスタッフの悲嘆のケアとして、フランクルの実存分析を基に“生きる意味の再構築“を行うMeaning Centered Psychotherapy(以下MCP)の有効性が検証されているが、本邦での実践はほとんど無い。 本研究は、遺族を対象に①MCPの日本人に対する有効性を検討する②MCPの有効性を質的に分析する。そのことにより、がんで家族を亡くした遺族への支援のあり方について提案する。
|
研究実績の概要 |
本研究は、米国を中心に進行がん患者の心理状態の改善に有効性が検証されている、生きる意味に焦点を当てたミーニング・センタード・サイコセラピー(以下MCP)について、がんで家族を亡くした遺族の死別後悲嘆に対する有効性を検証することを目的としている。死別後の悲嘆は、その国独自の文化、死生観、価値観などが大きく影響するため、米国で有効なMCPが果たして日本人にも有効であるかどうか、検証する必要がある。また近年、MCPをベースに悲嘆に対する効果を検討したミーニング・センタード・グリーフ・サイコセラピー(以下MCGP)や複雑性悲嘆に対する認知行動療法が示されているが、その有効性の検討は十分になされておらず、また治療途中での脱落率の高さも課題となっている。そこで本研究は、がん患者遺族にMCPを実施した過程を質的に分析し、日本人にとってMCPのプロセスがどの様に受け止められ、どの様な反応形成に至るか検討を行うものである。 昨年度までに得られた、MCP実施前後の4つの評価尺度(①複雑性悲嘆質問票日本語(ICG-19)②抑うつ尺度(CES-D)③精神健康調査票(GHQ-12)④心的外傷後成長短縮版(PTG))の変化を分析するとともに、逐語内容の質的に分析及び終了後の対象者アンケートを分析した。上記内容をまとめ論文が、palliative & Supportive Care誌に掲載された。また、MCPの効果が示された典型的な症例について、2022年度に開催された日本心理臨床学会第41回大会で事例研究の発表を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の対象者の多くが高齢者であるため、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響で、研究参加者の取り消しや実施施設での制限があり、データ収集が難しかった。また、論文作成にあたり参考となる、がん緩和ケアに関する国際会議が同じく新型コロナウイルス感染症の影響で2年連続延期(2023年4月末開催予定)となり、論文作成にも時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度に日本心理臨床学会第41回大会で研究発表を行った内容を加筆修正し、「精神療法」誌に投稿中である。査読結果を踏まえ、受理に向け対応していく。 2年間延期になった「第3回・第4回がん緩和ケアに関する国際会議」に参加し、内外の専門家の研究動向や考察を参考に、最終報告書の作成を行うとともに、次の研究課題について草案をまとめていく。 適切な対象者を増やすことができれば、対象者を増やし内容を精査することも検討する。
|