研究課題/領域番号 |
19K03343
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
宮野 秀市 宮崎大学, 安全衛生保健センター, 講師 (00339681)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | シリアスゲーム / 消費者教育 / 悪質商法 / スマートフォン / 学生相談 / 悪徳商法 / 教育工学 |
研究開始時の研究の概要 |
大学生に起こりうる問題の一つに,違法または不当な手段で商取引をすることで消費者に被害をもたらす悪質商法の問題がある。 本研究の目的は,悪質商法による大学生の被害を未然に防ぐための学習ツールとしてスマートフォン用ゲームアプリを開発し,それをプレイすることで悪質商法から身を守るための知識が習得されるかを実験によって明らかにすることである。さらに,そのゲームアプリを悪質商法対策を目的とした書籍やパンフレットなどの既存の学習ツールと比較し,学生がどの程度利用したいと思うかなどの印象評定を行う。 本研究で開発する学習ツールによって,悪質商法による大学生の被害が減少することが期待される。
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研究実績の概要 |
悪質商法対策の学習ツールとしてのブラウザゲームを開発し,その開発の過程で実施した調査研究を学会で口頭発表した。大学生114名に,悪質商法対策の学習ツールとしての,本,パンフレット,ウェブサイト,スマートフォン対応ブラウザゲームについて,どの程度利用したいか選好度を求め,さらにどのような印象を持つか自由記述で評価を求めた。その結果,ブラウザゲームは「楽しい・面白い」など他のツールにはみられない肯定的な印象を持たれることがわかり,悪質商法について学習の機会を提供する有効な手段となりうることが示唆された。しかしながら,選好度についてはブラウザゲームよりもウェブサイトの方が好まれた。ブラウザゲームに対する評価文にあらわれたネガティブな評価を調べたところ,「信憑性がない」,「怖い」,「面白くなさそう」,「ゲーム自体が好きではない」,「面倒くさい」,「学習のためのゲームはしない」,「ゲームだけして学習に目が向かない」といったコンセプトが認められた。学習を目的としたシリアスゲームが全ての学習者にとって望ましいものではないことは指摘されてきたが,本研究によってシリアスゲームに対するネガティブなコンセプトが明らかになった。本研究の結果は,シリアスゲームの普及に資する基礎的な資料となりうるものである。 開発した大学生のための悪質商法対策の学習ツールは,日本学生相談学会第41回大会と日本デジタルゲーム学会第14回大会の開催期間に合わせて限定で公開し,広く意見交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究はおおむね順調に進んでいたが,開発したゲームをさらに効果の高い学習ツールとするため,調査研究やゲーム公開時に多くの方から頂いた御意見を参考に改良を加えることが必要であると判断し,そのため,2023年度に実施する予定だった学習効果に関わる研究を2024年度に繰り越すため研究期間の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,これまでの研究期間で開発してきた悪質商法対策の学習ツールとしてのブラウザゲームの効果を測定するための実験を実施し,研究を完了させる。現在,そのための実験の準備を行っているところである。 また,これまでのゲーム開発の過程で実施してきた複数の調査研究を論文としてまとめて投稿する予定である。 さらに,これまでの調査研究によって得たシリアスゲームに関する新しい知見,すなわち,学習を目的としたシリアスゲームに対するネガティブなコンセプトと多くの学習者にシリアスゲームを利用してもらうための方策をまとめて学会発表する予定である。
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