研究課題/領域番号 |
19K03347
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10030:臨床心理学関連
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研究機関 | 東京大学 (2021-2022) 北陸学院大学 (2019-2020) |
研究代表者 |
勝谷 紀子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (90598658)
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研究分担者 |
佐野 智子 城西国際大学, 福祉総合学部, 教授 (50348455)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 難聴 / 聴覚障害 / 偏見 / 差別 / 不確実性 / スティグマ意識 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、日本における聴覚障害者への偏見の実態を調べる。次に、偏見の影響を左右する要因として、不確実性、スティグマ意識の影響を検討する。その際、健聴者が抱く偏見と聴覚障害者自身が抱く偏見の影響をそれぞれ調べる。これらの研究成果から、聴覚障害者への偏見変容・健聴者と聴覚障害者の相互理解を深めるための介入実践を行い、その効果を評価する。最終年度には研究成果をとりまとめ、聴覚障害者への偏見を変容し、よりよい合理的配慮を行うための提言を作成する。
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研究実績の概要 |
本研究課題の大きな目的は、聴覚障害者への偏見の実態を明らかにして、偏見に関わる要因を検討し、聴覚障害者への偏見を減らすための介入実践を行うことである。これまでの研究で日本における聴覚障害者への偏見の実態を当事者への調査やメディアでの聴覚障害者の描かれ方の特徴から検討してきた。そして、今年度は昨年度につづき聴覚障害者への偏見を左右する要因として、他者からスティグマをもってみられるのではないかという懸念であるスティグマ意識と、コミュニケーションにおける不確実性、すなわちコミュニケーションの際の相手の感情や態度が不確実であるという2つの要因を取り上げて、調査および実験的にその効果を検討した。具体的には、聞こえや聞き取りに困難がある調査対象者にたいしてオンライン経由での調査を行った。海外のオリジナル版尺度である性別に関するスティグマ意識尺度をもとにして、難聴に関するスティグマ意識を尋ねる尺度項目を作成したので、そちらを用いて聞こえや聞き取りに困難がある調査対象者に対してデータを収集した。今後、スティグマ体験との関連も検討し、健聴の調査対象者の結果と比較検討して成果を報告する予定である。さらに、コミュニケーションにおける不確実性については、先行研究を参考にオンラインでのシナリオ実験で検討した。難聴者がコミュニケーションの困難を経験する架空のシナリオを調査協力者に読んでもらう形式だったため、状況をイメージしづらい問題が残された。最終年度においては、同様の内容をまとめた動画を作成した上で、動画視聴による効果の検討も行いたい。これらの成果をもとにして偏見低減のための介入実践を行いたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スティグマ意識についての調査、コミュニケーションが不確実であることの効果の調査を行うことができた。一方、コミュニケーションが不確実であることの影響の動画を用いた実験的検討、これまでの成果を元にした、偏見低減のためのワークショップ形式による実践活動とその効果検証は新型コロナウィルス感染症対策の行動制限もあって実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年度に当たるため、残された課題の遂行と成果報告を確実にできるように取り組む予定である。具体的には、スティグマ意識についての調査結果の取りまとめ、コミュニケーションが不確実であることの効果の実験的検討と成果報告をまずおこなう。そして、聴覚障害者への偏見の実態解明については未検討のメディア(障害をとりあげた絵本など)についてもとりあげる。これまでの研究成果を元にした、聴覚障害者への偏見低減のためのワークショップ形式による実践活動を複数回おこない、その効果検証を行う予定である。
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