研究課題
基盤研究(C)
高齢化率が急増し認知症患者の急増が見込まれる中で、認知症であっても患者個々の価値観や希望に基づいて意思決定がなされるような支援が求められている。本研究では、医療上の意思決定を支援するツールとして欧米で普及しているDecision Aidについて、高齢者や認知症患者に対する活用状況のレビューや介入を行い、高齢者や認知症患者の理解、満足感を促す効果的な情報の提示方法を多角的に検討する。
本研究は、高齢者や認知症患者を対象とした医療上の意思決定支援向上のために、ディシジョンエイド(Decision Aid:DA)の枠組みに基づき、推奨される情報提供の在り方を検討・開発することを目指している。本年度は昨年度に立案したプロトコールに基づきながら、引き続き、(1)国内外の先行研究のレビュー、(2)高齢者が多い領域での専門家のヒアリングを行い、高齢者・認知症患者を対象とした情報提供に関わる現状と課題を検討した。(1)では、社会情動的選択性理論において高齢者ではポジティブな感情を引き起こす情報に不均衡に注意が向くとされること、高齢であるほど少ない選択肢の提示を好む傾向があるなどの報告が同定された。今後ユニバーサルデザイン領域での手法などを鑑みながら、情報を明確に示し丁寧なコミュニケーションを促すための情報支援が必要であると考えられた。 (2)では、がんの在宅緩和ケア領域の専門家に、高齢者および認知症患者に対する治療や療養場所などの意思決定支援におけるコミュニケーションや情報提供に関するニーズを聴取した。その結果、増加の見込まれる軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)を有する高齢者に対して、個々の価値観や希望に基づき意思決定をするための情報支援のニーズがとりわけ高く、地域医療システムや多職種連携の中で広く活用できるDecision Aidの作成が喫緊に求められると考えられた。
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膵臓
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130007871542
看護技術
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