研究課題/領域番号 |
19K03390
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
菱村 豊 広島国際大学, 健康科学部, 教授 (90293191)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | マウス / 皮膚温 / 超音波発声 / 表情 / 体温 / 情動 / 実験動物 |
研究開始時の研究の概要 |
マウス、ラット、ハムスターといった実験動物の情動状態を計測する方法として、従来用いられてきた行動テストバッテリーとは異なる新たなテストバッテリー(動物の表情、皮膚温変化、超音波発声の3つの複合指標)の開発を行う。これら3つの指標は、動物の情動状態をより直接的に反映するものと考えられ、時間的な変化を秒単位で測定できることや、非侵襲的な技術であるなどのメリットがある。
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研究実績の概要 |
マウスの情動を非侵襲的に測定するために、行動データ(ビデオ解析)に加え、顔の表情(ビデオ解析)、超音波発声(高周波音専用マイクで録音した発声のスペクトラム分析)、皮膚温(赤外線サーモグラフィー)を同時継時的に分析することを特徴とする研究である。マウスの系統を近交系であるC57BL/6Nに絞った上で、他個体提示条件(同性または異性刺激個体が隣室に提示される)、嫌悪刺激である毒物投与とその環境(文脈)への再提示をおこなう毒物条件、およびラットでは快刺激になるとの報告があるくすぐりを行うくすぐり条件の3パターンで研究を行った (n = 24)。実験は全て防音室内に設置したアクリル製ボックス内で実施した。 その結果、他個体提示条件では、オスが同性を提示された場合に、20 kHz以下の低めの超音波発声が他の場合よりも多く見られた。皮膚温はオスが異性を提示された場合にのみ体温の上昇が観察され、それ以外では結果がはっきりしなかった。毒物条件では、超音波発声は毒物投与時にはほとんど観測されず、環境の再提示時に50 kHz以下の発声が見られた。体温も毒物投与時には変化が見られなかったが、環境の再提示時に上昇した。くすぐり条件では、雌雄ともに超音波発声が広い周波数帯域で観測され、体温は低下した。これらの結果はマウスの情動状態を反映していると考えられるが、分析の時間分解能が低く、時間的対応関係の明確な解釈をすることができていない。また表情の分析も肉眼での識別が困難である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウスの情動を計測するために、観測装置や刺激提示の方法を工夫してきた。また実験に使用する系統の違いや性差なども検討してきた。今年度は特に嫌悪刺激である毒物投与とその環境(文脈)への再提示をおこなう毒物条件と、ラットでは快刺激になるとの報告があるくすぐりを行うくすぐり条件を新たに設定して実験を行った。その結果、毒物条件では毒物投与直後よりも翌日の文脈再提示時の方が情動反応が現れることや、くすぐり条件では体温データからも行動データからも快反応ではなく不快反応を示していることが示唆される結果となった。また、雄マウスは異性よりも同性が提示された際に体温上昇がみられるという一貫した結果なども得られている。 しかし、データの平均値では行動と超音波発声と皮膚温という三者の時間的対応関係に一貫した傾向を見出すことはできておらず、分析方法の再検討が必要だと考えている。また表情データについては、ビデオカメラの記録画素数やフレームレートを様々に変えて記録してみたが、現状肉眼での判定・数値化が困難である。ここ数年の間に機械学習による画像解析技術が休息に発展しており、それをマウスの表情解析に利用できないか検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
マウスの情動を計測するために、観測装置や刺激提示の方法を工夫してきた。また実験に使用する系統の違いや性差なども検討してきた。今年度は特に嫌悪刺激である毒物投与とその環境(文脈)への再提示をおこなう毒物条件と、ラットでは快刺激になるとの報告があるくすぐりを行うくすぐり条件を新たに設定して実験を行った。その結果、毒物条件では毒物投与直後よりも翌日の文脈再提示時の方が情動反応が現れることや、くすぐり条件では体温データからも行動データからも快反応ではなく不快反応を示していることが示唆される結果となった。また、雄マウスは異性よりも同性が提示された際に体温上昇がみられるという一貫した結果なども得られている。 しかし、データの平均値では行動と超音波発声と皮膚温という三者の時間的対応関係に一貫した傾向を見出すことはできておらず、分析方法の再検討が必要だと考えている。また表情データについては、ビデオカメラの記録画素数やフレームレートを様々に変えて記録してみたが、現状肉眼での判定・数値化が困難である。ここ数年の間に機械学習による画像解析技術が休息に発展しており、それをマウスの表情解析に利用できないか検討中である。
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