研究課題/領域番号 |
19K03394
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾形 庄悦 東北大学, 理学研究科, 客員研究者 (90177113)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | トーリック多様体 / 格子多面体 / 代数幾何学 / 代数学 |
研究開始時の研究の概要 |
格子凸多面体の形状や組合せ論的性質と対応するトーリック多様体の代数幾何的性質がとても良く対応し、それぞれの研究分野での用語による問題提起が可能であるから、課題設定や解決すべき問題の本質が見やすくなっている。ただし、3次元の格子凸多面体の場合でも、直感だけでは間違いが起こりやすく、注意深く詳細に考察しなければならない。 このため、組合せ論の研究集会と代数幾何の研究集会両方に参加して、本研究を進めるのに役に立つ他分野の研究成果を見極めなければならない。そのため、国内と海外の研究集会に参加し、また、研究者を個別に訪問して研究資料を収集する必要がある。それで、旅費の分が多くなっている。
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研究実績の概要 |
偏極トーリック多様体の射影正規性と定義イデアルの生成次数に関係する正則性に関するEisenbad-後藤予想から、藤田の定義したデルタ種数に関する新たな不等式の予想を定式化し、4次元以下では正しいことを証明した。アンプル直線束の随伴束が自明でない大域切断を持つときのデルタ種数の不等式を、一般次元で証明し、等式の成立する多様体を決定した。 これらの結果を論文にまとめてプレプリントとしてウェブ上に公表した。 S. Ogata and R. Tabei, An inequality for the delta-genus of toric varieties, arXiv:2309.1053.2023 シンガポール大学で開催された研究集会「Recent Developments in Algebraic Geometry, Arithemetic and Dynamics(代数幾何学と数論、力学系における最近の発展』」(8月21日から25日)に参加して、講演を聴き、参加者と研究に関する情報を交換した。 また、熊本の南阿蘇で開催された研究集会「代数幾何学とその周辺の話題」(9月10日から13日)に参加して講演を聴き、「格子多面体に関するある不等式について」の題で講演した。 さらに、フランクフルトのゲーテ大学で開催された研究集会「Vector Bundles and Combinatorial Algebraic Geometry(ベクトル束と組み合わせ代数幾何学)」(10月9日から13日)に参加して講演を聴き、「An inequality for the delta-genus of toric varieties」の題名でミニトークを行った。研究集会参加者と議論して研究成果の詳しい内容を説明し、今後の研究方針の立て方への刺激を受けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度には、非特異3次元偏極トーリック多様体のアンプル因子の随伴因子が巨大でない場合に、その多様体のどのアンプル直線束の大域切断による埋め込みもそれが2次式のみの零点となることを示した。この結果をもっと広い類に拡張するためのアイデアが不足している。そのため、3次元非特異の条件を外して一般次元での正則性に関するEisenbad-後藤予想に挑戦する研究に精力を注いだ。それに関する部分的結果を得たが、本来の研究課題の実行にはまだ繋がっていない。
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今後の研究の推進方策 |
以前の研究課題で、射影直線への全射正則写像を持つ3次元非特異トーリック多様体のどのアンプル因子も射影正規的埋め込みを与えることを証明したので、この種の偏極トーリック多様体の定義方程式の次数が2であることを証明したい。この種の多様体に対応する格子多面体の特徴を詳しく研究して解決し、研究集会で発表したい。
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