研究課題/領域番号 |
19K03397
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田口 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90231399)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | ガロア表現 / モジュライ / クムマー忠実 / 遠アーベル幾何学 / ドリンフェルト加群 / 代数体 / 函数体 / クムマー忠実体 / 分岐理論 / Galois representation / Kummer-faithful / moduli |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「sub-p-adic でないクムマー忠実体にはどんなものがあるか」を調べ、クムマー忠実体の分岐理論的特徴付けを得る事を目指す。 また、無限次クムマー忠実体の具体的構成法を研究し、特に、アーベル多様体の等分点の座標添加などの「伝統的な」手法で得られる無限次代数体がいつクムマー忠実になるかを決定する。
|
研究実績の概要 |
2023年度は、以前から行っていた「ほどほどに大きい代数体上のMordell-Weil群の構造」についての論文の構想がほぼ纏まった(が、時間不足で、書き上げるのは次年度に持ち越しになった)。当該年度に学位を取得した浅山拓哉氏による、標数零の有限生成体の代数閉包の有限個の自己同型による部分体として得られる体や、それに含まれる最大ガロア部分拡大体のクムマー忠実性についての結果と合せて、共著論文を書く事になった。これは研究代表者と小関祥康氏との共同研究や大溪幸子氏による先行研究の一般化に当たる。研究代表者の得た結果は以下の通りである:正整数gと、素数pにより添字付けられた非負整数m_pの列が与えられたとき、有限次代数体Kに次元がg以下の任意の半アーベル多様体Aの任意のK有理点のp^{m_p}倍写像による逆像の座標を全て添加して(Aとpは動かす)得られる拡大体Lはクムマー忠実であり、もしrank(A(K))≧1かつ無限個の素数pに対しm_p≧1ならばL上のモーデル・ヴェイユ群A(L)は自由ではない(射影的ですらない)。 これらの結果の函数体類似も成り立つと予想されており、実際これまでに或る程度は確かめられている。完全に成り立つかどうかは今後の研究に俟たねばならない。 一方、ポスドクの室谷岳寛氏により、有限体の無限次代数拡大がいつクムマー忠実になるかが決定され、遠アーベル幾何学への応用が図られたが、この研究を受けて、浅山氏と研究代表者は、有限体の無限次代数拡大がいつドリンフェルト・クムマー忠実になるかを決定する研究を始めた。未だ決定的な結論には至っていないが、遠くない将来に一定の成果を得られる見込みである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年一昨年と新たに参加してくれたポスドク二人のお蔭もあり、我々の研究は、(小さいが)新しい発見が相次ぎ、小さい方針転換を繰り返したため、 当初の、ガロア表現のモジュライ空間と結びつけて研究するという目論見からはどんどん離れて行ったが、クムマー忠実体の数論の研究という意味ではいい感じに進展していると思う。今後は、既に構成出来たクムマー忠実体上で、遠アーベル幾何学的復元作業を実際にどの程度遂行出来るかという研究を進められると思う。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の成り行き上、当初の計画の中心的課題の一つであった、ガロア表現のモジュライ空間の性質の探究からは少し離れてしまったのであるが、今後の研究の推進方策としては、現在の方向性を推し進めるのと、ガロア表現のモジュライに戻るのと、二通り考えられる。本研究「クムマー忠実体のガロア表現とそのモジュライの研究」としては2024年度が最終年度になるので、現在の方向性をあと一年弱推し進めて終了となるが、ガロア表現のモジュライについては改めて別の研究課題として計画を立て直したい。本研究としては、(元祖の)クムマー忠実体だけでなく、最近定義された「torally Kummer-nondegenerate」「abelian variety Kummer-faithful」等の変種も視野に入れて研究しなければならなくなって来た。小関祥康氏との共同研究に於いて、クムマー忠実なガロア拡大の分岐理論的な十分条件が得られているが、実はガロア群の(位相)群としての形だけでかなり統制できるのではないかという予感もあり、この線での研究も推進して行きたい。 一方、本研究課題から派生して、混標数局所体の絶対ガロア群からのmono的復元という課題も新たに見つかった。これについては研究代表者の研究室のポスドク及び大学院生らと検討して、かなり脈がありそうな感触を得ているが、本研究課題内で扱うには無理があるので、別の研究課題として追求したい。
|