研究課題/領域番号 |
19K03405
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
千吉良 直紀 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (40292073)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 有限群 / 共役類 / 既約指標 / 指標 / 群 / 表現 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、有限群の表現空間およびその指標に注目し、群の共役類と指標との関係、また、表現空間の中に群の作用の性質を反映した部分構造の構成し、それを用いた有限群の構造の研究を目的とする。特に(1)指標表に関連した予想である原田予想およびそこから派生する諸問題の研究、(2)表現空間の中に存在する、群の作用を反映した組合せ構造および代数構造の構成とその特徴けおよびそれを用いた群の構造の研究を中心に研究を行う。群の性質を指標を用いて明らかにすること、および各表現空間への群の作用の様子を調べることで群の構造を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究課題では表現空間や指標を用いて、有限群の共役類と既約指標の関係、また表現空間内に構成される組合せ構造の研究およびそれを用いた有限群の構造の研究を行うことを目的としている。特に、共役類の元の個数と既約指標の次数に関する原田予想、原田予想と交換子群の位数の関係に関する予想、また付随した不等式に関する予想およびそれから派生する諸問題について研究を行うことで有限群の持つ新たな性質を発見することが本か題の目的である。 本年度は前年度に引き続き原田予想についての研究を中心に行った。特に上述の不等式の評価について、群環においての性質を調べることで予想の式を扱いやすい形に変形することができた。不等式が成立するという予想は一般の群で成立していると思われる。 また、指標表から作られる行列の形について交換子群が群自身と異なる場合に、きれいな分割ができることを示した。交換子群が群全体と一致しない場合には、個々の分割の性質を調べることで予想の解決につながるのではないかと期待できる。 また、p群についてはstemと呼ばれる性質を持つ群について調べればよいことがわかっているが、stemの構造にさらに制限をつけると部分的に原田予想を解決できることがわかった。これをさらに一般化してp群に関する予想を解決する手がかりを見つけたい。また上述の不等式の研究や指標表から得られる行列の性質の研究は互いに密接に関係している。本年度の研究により今後の研究に役に立つ有益な情報が得られたと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は他の研究者との研究討論などを有効に行うことで研究を進める予定であったが、コロナ禍によって制限を受けてしまっている。本年度は緩和されつつあったがこれまでの遅れを取り戻すまでに至っていないので、やや遅れているとした。
|
今後の研究の推進方策 |
原田予想およびそれに付随したいくつかの予想について、これまでに行ってきた研究考察をもとに、今後は(1)p群に関する予想の解決、(2)指標表から作られる行列の性質を群環の中で記述することで明らかにする (3)指標から作られる行列の単因子と原田予想の関係を明らかにする(4)群環の中心の作る可換環における積の構造と原田予想の関係を明らかにする、などを中心にして問題解決を図る。また、Lie型の群の構造を決める上で重要な標数と原田予想との関係を明らかにしたい。標数との関係は予想を考察している当初から注目していた問題であり、Lie型の群の指標と共役類の関係を表す新しい知見を得ることができると思われるので、この方向の研究も視野にいれて研究を行う。
|