研究課題/領域番号 |
19K03409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
山内 博 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (40452213)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 頂点作用素代数 / テンソル圏 / フィッシャー群 / マシュー群 / 二元符号 / 3互換群 / W代数 / モンスター |
研究開始時の研究の概要 |
頂点作用素代数は無限次元ベクトル空間に可算無限個の積が備わった代数系であり,その公理系は二次元共形場理論におけるカイラル代数を数学的に定式化して得られるものである。無限次元の代数系であるにも関わらず,特別な有限単純群をその対称性に持つ頂点作用素代数が存在する。本研究は数理物理学に由来する無限次元の代数系に現れる,特別な対称性である有限群を,最新の数学理論を用いて,構成・記述することを目指す。
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き,レベル28のA1型アフィン頂点作用素代数の例外型拡大を用いた中心電荷24の正則頂点作用素代数の構成の構成,およびその自己同型群について研究を行った。構成法については,コセット構成法およびそのミラー拡大を経由して,テンソル圏の手法による元々の構成法と,具体的な格子に付随する頂点作用素代数から出発し,不動点部分代数をとった上でその単純カレント拡大をとる構成法の二通りの構成法が得られていたが,今年度は前者についてより深く考察を行った。テンソル圏における可換代数的対象の構成法として,標準代数をとる手法が知られている。A1型の構成法で得られる,中心電荷24の正則な頂点作用素代数はすべてフィボナッチ拡大となっており,圏論的には同じ標準代数に対応するものであった。これまで,この構成法により,同型を除いて計8個の正則な中心電荷24の頂点作用素代数が得られていたが,すべて同じ標準代数に対応することから,拡大をとる前にテンソル積を作り,それらをフィボナッチ拡大でつなげていくことで,中心電荷が24の正の倍数の場合に,未知と思われる非自明な正則な頂点作用素代数の無限系列を構成できることが分かった。特に中心電荷が48の場合に得られる例については,ムーンシャイン頂点作用素代数の2つのテンソル積とはならないことが指標の計算などから予想できるものの,その具体的な構造はよく分かっておらず,今後のさらなる研究が必要となった。構成した例のいくつにおいては,次数1の部分空間が自明になっており,有限群を前自己同型群に持つことが予想されるが,こちらもまだよく分かっておらず,今後のさらなる研究が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は海外への渡航制限も徐々に緩和され,海外の共同研究者と対面で研究打ち合わせを実施することができ,多くの知見を共有できた。また,今後の研究の方向性についても具体的に話し合うことができ,次年度以降の継続課題を明確にできた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題ではA1型およびA2型の例外的な拡大の構成とその対称性の解析を目標に掲げたが,これまでの研究から,A2型についてはA1型と平行して扱える部分と,別課題として扱うべき部分がはっきりしていた。平行部分についてはほぼ解明できたことから,A2型の問題については本研究課題ではこれ以上扱わず,来年度もA1型に集中する。テンソル圏における可換代数的対象として標準代数をとる手法が知られているが,A1型の構成法で得られる正則な頂点作用素代数はすべてフィボナッチ拡大となる。これまでにこのような例を8個構成しているが,これらは圏論的にはすべて同じ拡大であることを応用して,拡大前の頂点作用素代数のテンソル積をとり,これらを標準代数でつないでいくことで,無限個の正則な頂点作用素代数が得られることが分かった。こうして得られた正則頂点作用素代数の構造はまだ調べられておらず,そのいくつかは未知のまったく新しい例を与えてるものと期待されるため,指標や部分代数などを調べ,その構造について解析を行う。
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