研究課題/領域番号 |
19K03411
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
大橋 久範 東京理科大学, 創域理工学部数理科学科, 准教授 (40547006)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | K3曲面 / Mathieu群 / 自己同型群 / エンリケス曲面 |
研究開始時の研究の概要 |
代数多様体はその定義方程式の次数に比例して複雑になっていくが、この研究においては、一般に(広い意味で)カラビヤウ型とも呼ばれる、小平次元が0の多様体上に生じる極めて面白い自己同型・対称性について、群論や特異点論を用いて、より明示的な記述を目指して調べていく。これは不変式論や有限群の表現と関係した古典射影幾何学などと相性が良く、実際にこれまでにも豊富なおもしろい方程式が得られている分野である。K3曲面やエンリケス曲面とその自己同型の明示的な記述や構成を目指していく。
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研究実績の概要 |
清書中だった論文の証明の書き下しが少しずつ進んで終わりが見えてきて、完成に近づいている。たくさんの箇所で論旨が明確になったほか、標数3における可解な極大群の、従来の不変式論とは異なった新しいアイデアを用いた構成ができたように思う。このアイデアはSchutt氏によるものだが、群が大きな部分群を持つ場合に適用できる汎用性があり、特に標数0においては向井氏の結果からすべての極大自己同型群の射影実現が分かっていることと合わせると、多くの極大有限群の構成に使うことができるのかもしれない。ただし、それでもまだ実現するのが難しい場合も多い。これは欲しい群が分かりやすい部分群を持たない場合や、わかりやすい部分群の射影実現の間の同型写像の構成が一般には困難である(一般的な方針はなく、ケースバイケースで証明するしかない)ことに起因する。私のほうは不変式論に基づく証明を与えたかったが、一般的に考えようと小さい群から考えたものの、モジュラー表現の一般論があまりに膨大でつまづいている。あらためて論文の主定理、平方剰余記号を用いた各標数における有限群の特徴づけを見てみると、これは不変式論のような比較的きれいに書ける定理を導き出せる傍証であると考えられる一方で、平方剰余記号がモジュラー表現で果たす役割があまり想像できていないため、この方針ではまだ難しいという可能性もあるように思われる。この部分についてはまだ本質的な考察が必要であると思われるが、主定理自体はかなり書き下すことができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一昨年度は一気に進展したが、今年度は新しいアイデアがうまくいかず、またコロナ体制からそれ以前の大学への転換で忙しさを感じていたこともあり、研究内容は少し停滞してしまった。それでも、論文自体は進歩していると思う。
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今後の研究の推進方策 |
正標数における自己同型群について、特に野性的な場合にいろいろなことがわかってきたのは大きな進展である。高次元のシンプレクティック多様体やエンリケス曲面などにも応用できると嬉しい。また、無限位数の自己同型群について新しい進展を見つけたのでそちらも考えてみたい。
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