研究課題/領域番号 |
19K03412
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
安福 悠 日本大学, 理工学部, 教授 (00585044)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 一様有界性 / 高さ関数 / 有理点 / 軌道 / Vojta予想 / 最大公約数 / 整数点 / ブローアップ / 高さ / ディオファントス幾何 / 数論的力学系 |
研究開始時の研究の概要 |
方程式の整数解を求める問題は,フェルマーの最終定理などの例が有名なように,昔から取り組まれてきたが,一般の方程式の場合,整数解が沢山あるのかどうか,という問題に対してさえ殆どの場合解決されていない.そこで本研究では,最近導入された不変量や乗法群と呼ばれる群における最近の結果を踏まえて,整数点があまりないと判定できるような幾何学的及び整数論的性質の決定に取り組む.また,一つの写像の繰り返し合成に着目する力学系の設定でも整数点集合を分析する.
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研究実績の概要 |
2022年度もCOVID-19の影響は続き,日本への入国制度が予告なく変遷することから海外から研究者を招聘することは難しかった.一方で,他機関が国内に招聘した海外研究者と研究討議をしたり,久々に海外での国際研究集会に現地参加したりすることができ,最近の研究の進展について直接意見交換することができた.また,国内で開催される研究集会は2019年と同じくらい活発となり,副代表を務めた国際研究集会「解析的整数論とその周辺」 (於京都大学数理解析研究所)には130人もの参加者があり,幅広い整数論分野の知見を得られた.
新しい研究結果としては,Giang Le氏の結果及び松澤陽介氏の結果を用いることで,軌道上の点が整数点となる合成回数の上界を,軌道の開始点によらず一様に制限できることを証明した.これは一次元の場合でも新しい結果であり,論文はまだ投稿中であるが,京都大学数理解析研究所で開かれた国際研究集会「複素力学系と関連分野」で口頭発表を行った.また,Schmidtの部分空間定理に基づいたRu--Vojtaの定理を用いることで,准整数点と呼ばれる点を2次元で分析することにも成功し,新しい最大公約数の不等式を得ることができた.こちらも論文はまだ投稿中であるが,大分熊本整数論集会で口頭発表を行った.この研究については,バンフ国際数学研究所で開かれた国際研究集会「Specialization and Effectiveness in Number Theory (数論における特殊化と計算実効性)」でも参加者に周知することができ,特にJulie Wang氏 (台湾中央研究院)とは,3次元以上の空間への拡張について研究討議を行った.一年を通じて,整数論や代数幾何の研究集会に参加することで,ディオファントス近似や代数多様体の有理点についての最新の研究の知見を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軌道上の整数点を一様におさえる上界を導いた結果や,2次元において準整数点が満たす不等式を得ることができた.また,これらの成果について口頭発表する機会も与えられたので,研究はおおむね順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,軌道の整数点の一様有界性をさらに精密化する.2022年度に得られた結果では例外集合を設ける必要があったが,例外集合を設けないと成り立たないような具体例を構築するか,あるいは例外集合なしで同じ定理の証明を試みる.また,準整数点については,3次元以上で同様の結果が得られないか引き続き研究していく.このために,Schmidtの部分空間定理の活用法を工夫したり,あるいはSchmidtの部分空間定理の主張そのものをより精密化したりする.
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