研究課題/領域番号 |
19K03459
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
塩谷 隆 東北大学, 理学研究科, 教授 (90235507)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | グロモフ・ハウスドルフ空間 / 楕円面と楕円体 / ガウス空間 / 群作用 / ボックス距離 / オブザーバブル距離 / 集中位相 / CAT空間 / 距離空間 / Gromov-Hausdorff空間 / コンパクト化 / 無限次元空間 / 測度の集中現象 / 測度距離空間 / 楕円 / ピラミッド / オブザーバブル直径 |
研究開始時の研究の概要 |
リーマン多様体や測度距離空間の列が与えられたとき,その列の個々の空間をスケール変換して得られる空間列の収束性を研究する.リーマン多様体を含むある種の測度距離空間の列に対しては,臨界スケールという正の実数列のオーダーが定まる.臨界スケールより小さいオーダーの数列で空間をスケール変換したときは,1点に収束し,大きいオーダーの数列で空間をスケール変換したときは,消散と呼ばれる現象が起きる.丁度,臨界スケールで変換したときは,非自明な空間へ収束するが,その極限を臨界極限空間と呼ぶ.ここでの問題は具体的な空間列に対して,臨界スケールおよび臨界極限空間を決定することである.
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研究実績の概要 |
今年度は前年度に引き続き,以下の研究を行なった. 1つ目の成果(中島と共同)として,距離空間全体の集合上に自然な擬距離を定義し,距離がゼロとなる同値関係に関する距離空間の同型類全体から成る距離空間がグロモフ・ハウスドルフ空間のコンパクト化となっていることを示した.この論文は投稿したが改訂を求められた.改訂して再提出した. 2つ目(中島と共同)は測度距離空間とその上の等長的かつ保測な群作用の収束についてである.測度距離空間と等長的かつ保測な群作用の組全体の空間の上にボックス距離とオブザーバブル距離を拡張した.応用として,次元が無限大へ発散するようなレンズ空間の列が無限次元複素射影空間の推へボックス収束することを示した.この論文はCommunications in Analysis and Geometryにアクセプトされた. 3つ目の成果(数川と共同)として,次元が無限大へ発散するような楕円体と楕円面の列が無限次元ガウス空間へ集中位相で収束することを示した.先行研究では,そのような収束の例は,自明なものを除いて知られていなかったので,この意味で重要な結果である.この論文はJour. of Math. Soc. Japanにアクセプトされた. 現在進行中のプロジェクト(山口・永野と共同)として,2次元CAT空間の構造について研究した.局所構造について論文を執筆し投稿した.大域構造については研究を続行中である. さらに,測度距離空間全体の空間の位相構造について論文を執筆中である(数川・中島と共同).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
投稿した論文2編がアクセプトされ,他2編については修正を求められ,修正・提出して審査中である.さらに2つの課題について研究が進んでいて,論文を3編執筆中である.
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今後の研究の推進方策 |
1つのプロジェクト(数川・中島と共同)として,測度距離空間の同型類全体の空間χの位相構造について研究を継続する.ここで,χの位相はボックス位相または集中位相とする.正の実数全体から成る加法群の空間χへの群作用が主束の構造を持つことを示し,その主束が非自明であることを証明する.グロモフ・ハウスドルフ空間やSturmのL^{pq}距離では,そのような群作用の軌道が最短測地線となっており,そのことから空間が推に同相であることが分かるが,我々の場合はそうなっていないことが特徴的である. 2つ目のプロジェクト(山口・永野と共同)として,前年度に引き続き2次元局所CAT空間の構造について研究する.前年度には主に局所構造について解明した.これを足がかりに,今年度は大域的構造の解明に取り組む.曲率測度を構成して,ガウス・ボンネに定理を示すことが一つの目標である. また,測度距離空間についての著書を執筆中である.ボックス距離の定義として,従来のパラメータを用いたものに替えて,最適輸送理論を用いたもの(中島のアイディアによる)を採用し,それに合わせてさまざまな主張の証明を改訂している.従来より色々な証明が短く,見通しが良くなる見込みである.
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