研究実績の概要 |
本年度の研究実績は以下のとおりである. 1. 連続増加関数の拡張に関して,昨年度投稿した原稿の修正を行った. 査読者の質問から示唆を得て,定理の一つが一般的な表現にできることがわかり, 修正原稿に反映させた. タイトル「Extensions of continuous increasing functions」として Top.Appl.から出版された. 2. 8月のトポロジーシンポジウム(奈良女子大学)にて,「連続増加関数の拡張と経済学における応用」というタイトルで講演を行った. 経済学における選好理論への連続増加関数の応用の紹介, および, 本研究課題における成果の位置づけを上述の論文の内容を含めて講演した. 3.位相(前)順序空間の多重効用関数表現について, 用いる関数の濃度について研究を行った. 位相(前)順序空間は, 位相空間かつ順序集合であるため, 位相空間のウェイト(開基の最小濃度)の評価, および, 導入された順序を付加した位相順序空間としての評価が考えられる.そのため, まずは多重効用関数表現を与える連続関数族の最小濃度を, 位相空間の積の位相的性質を用いて上から評価した. 応用として,チコノフの埋め込み定理の順序構造を付加した位置づけにあるフレッチャー・リンドグレーンの埋め込み定理に関して, 関数族の濃度を反映した改良を与えた. さらに, 位相順序空間のコンパクト部分空間における多重効用関数表現の全空間への拡張を特徴づける定理を与えた. 本研究内容を論文としてまとめ, 12月のジェネラルトポロジーシンポジウム(神奈川大学)において研究成果を発表した.
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