研究課題/領域番号 |
19K03473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022) 大阪府立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
入江 幸右衛門 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 客員研究員 (40151691)
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研究分担者 |
岸本 大祐 九州大学, 数理学研究院, 教授 (60402765)
山口 睦 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (80182426)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 多様体の三角形分割 / Golod 性 / tight 性 / モーメントアングル複体 / Massey 積 / 多面体積 / ホワイトヘッド積 / ヤコビ恒等式 / ハーディー恒等式 / 単体複体 / タイト性 / Golod / F-タイト / トーリックホモトピー / Golod性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、数学のいろいろな分野(具体的には、代数幾何学、可換環論、トポロジー、組み合わせ論)に現われるモーメントアングル複体とその一般化に関する研究です。モーメントアングル複体は、単体複体とよばれる簡単な数学的対象で記述できます。その単体複体が Golod 性という特別な性質をもつとき、モーメントアングル複体が非常に簡単な構造を持つことが今までの研究で予想されています。本研究は、単体複体が Golod 性を持つ必要十分条件を、その組み合わせ構造を用いて記述することを目指しています。
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研究実績の概要 |
私たちは、この10年間ほど単体複体の Golod 性という代数的な性質を、組み合わせ論的に記述することを目的に研究を行ってきた。しかし、研究を続けている間に研究対象が思っている以上に複雑で、単体複体に条件を付けずに一般的な結論を出すことは不可能だと分かってきた。そこで、本研究では、単体複体として多様体の三角形分割に制限し、多様体の三角形分割が Golod 性を持つ組み合わせ論的な特徴付けを与えることにした。多様体の三角形分割に関しては、微分幾何の観点からその tight 性の研究が長らく行われていて、その研究結果から Golod 性と tight 性の類似性が強く示唆されていた。2021年度までの研究で、3次元多様体の三角形分割に関しては、Golod 性と tight 性が同値であることを証明することができた。そして、2022年度において、一般次元の多様体の三角形分割に関して、両者の概念が同値であることを証明することができた。
以上の結果から、本研究課題の当初の目的を達成することができたが、その証明方法が当初の想定とは異なっていた。3次元多様体の三角形分割 K に関して、Golod 性と tight 性の同値を証明するために、単体複体 K から構成されるモーメントアングル複体 Z(K) を介在させ、3条件(1) K が Golod 性を持つ、(2)K が tight 性を持つ、(3)Z(K) が懸垂空間のホモトピー型を持つ、がすべて同値であることを示すことによって、Golod 性と tight 性の同値性を証明した。しかし、一般次元の多様体の三角形分割については、Golod 性と tight 性の同値性を Z(K) を介在させずに証明でき、(3)の問題点については未解決のままである。最終年度の置いては、この問題の解決を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】で記したように、2022年度の研究において、多様体の三角形分割について、その Golod 性と tight 性が同値であることを証明することができた。この結果は、当研究課題の最終目的であったものであり、研究目的は達成されたと考えている。しかし、その証明方法は私たちが当初想定していた証明方法と違ったものであった。私たちは単体複体 K から構成されるモーメントアングル複体 Z(K) のホモトピー型をこの10年間ほど研究を続けており、特に、K の Golod 性と Z(K) が懸垂空間のホモトピー型をもつ条件の関係に興味を持ってきた。3次元多様体の三角形分割に関しては、3条件(1) K が Golod 性を持つ、(2)K が tight 性を持つ、(3)Z(K) が懸垂空間のホモトピー型を持つ、がすべて同値であることを示すことができたが、2022年度に与えた多様体の三角形分割について、その Golod 性と tight 性が同値であることの証明では、上記の条件の(1)と(2)の同値性を直接証明し、条件(3)に関しては何も分かっていない状況である。
以上のように、2022年度までの研究で当初の研究目的を達成することができたので、研究は順調に進展していると判断した。しかしながら、多様体の三角形分割 K が Golod 性を持つとき、Z(K) が懸垂空間のホモトピー型を持つかどうかは全く分かっていない。この点において、研究結果は不十分なものと判断して、当初の研究計画以上に進展しているとは判断しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
多様体の三角形分割 K に関して、次の3条件を考える。(1) K が Golod 性を持つ、(2)K が tight 性を持つ、(3)Z(K) が懸垂空間のホモトピー型を持つ。2022年度までの研究で分かったことは、条件(1)と(2)の同値性である。一方、条件(3)から条件(1)が導かれることは、良く分かっている事実である。従って、今後取り組まなければいけない課題は、条件(1)から条件(3)が導かれるかどうかを解決することである。この問題は、3次元多様体の三角形分割に関しては肯定的に解決されているが、その証明は3次元多様体の tight な三角形分割の特徴づけを与える先行研究に大きく依存しており、4次元以上ではそのような研究成果は得られていない。よって、4次元以上では状況が大きく異なる。
そこで、これまでの研究で知られている多様体の tight な三角形分割 K のモーメントアングル複体 Z(K) について、それが懸垂空間と同じホモトピー型を持つかどうかを調べることが、まず初めに取り組まなければならないことである。もし、K が tight なのに、Z(K) が懸垂空間のホモトピー型を持たないものが見つかれば、これで一応の問題の解決を見る。ただ、その時はその時で、K の tight 性にどのような付加条件を与えれば、K のモーメントアングル複体 Z(K) が懸垂空間のホモトピー型を持つのかという新しい問題も発生する。
以上のように、本研究課題の最終年度である本年度においては、多様体の tight な三角形分割のモーメントアングル複体のホモトピー型の研究を中心に据え、周辺分野の研究も併せて実施する。
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