研究課題/領域番号 |
19K03479
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
吉田 尚彦 明治大学, 理工学部, 専任講師 (70451903)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | Lagrangian fibration / 自己同形群 / 正則L2表現 / 幾何学的量子化 / Lagrangeファイバー束 / Spin-c量子化 / 実量子化 / 断熱極限 / アファイン体積 / Lagrange ファイバー束 / 概複素構造の変形 / アファイン幾何学 |
研究開始時の研究の概要 |
物理学において量子化とは,古典力学系から量子力学系を構成する手続きのことであるが,数学的にはシンプレクティック多様体上の関数のなすPoisson代数のHilbert空間への表現と定式化される.典型例は正準量子化であり,一般には正準量子化を局所モデルとする量子化を幾何学的に構成する試みがある.これを幾何学的量子化という.幾何学的量子化には複数のアプローチがあり,それらの関係を調べることは基本的である. 本研究では,その中でSpin-c 量子化と実量子化の関係を Lagrange ファイバー束のアファイン幾何学を用いて概複素構造の変形の観点から解明し,指数理論やアファイン幾何学への応用を探る.
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研究実績の概要 |
完備な底空間をもつ非特異Lagrangian torus fibration の全空間がファイバー方向に不変で整合的な複素構造を許容する場合に、Lagrangian torus fibration の対称性について研究し、以下の結果を得た。 1. 完備な底空間をもつ非特異Lagrangian torus fibrationの全空間上に、ファイバー方向に不変で整合的な複素構造を1つ固定する。このとき、底空間の自己同型写像が全空間のKahler構造を保つ自己同型写像に持ち上がるための必要十分条件を得た。また、初期条件をみたす持ち上げは一意であることも分かった。 2. 完備な底空間をもつ非特異Lagrangian torus fibrationの全空間上のファイバー方向に不変で整合的な複素構造のモジュライは、非退化対称行列に値をとる底空間の普遍被覆上の滑らかな写像である条件を持つもののモジュライと同一視出来ることが分かった。 3. 完備な底空間をもつ非特異Lagrangian torus fibrationに前量子化束がある場合、これらの構造を全て保つ自己同型写像は前量子化束の正則L2 切断全体の空間へユニタリ作用素をして作用する。特に、このような自己同型写像全体のなす群(或いはその部分群)の正則L2 切断全体の空間へのユニタリ表現が得られる。正則L2 切断の空間については、これまでの研究で、複素構造がある技術的な条件をみたす場合、完全直交系が具体的に構成できる。今年度は、この完全直交系を利用して、この表現の既約分解を得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、完備な底空間をもつ非特異Lagrangian torus fibration の全空間が複素構造を許容する場合に、Lagrangian torus fibration の対称性について研究し、底空間の自己同型写像が全空間のKahler構造を保つ自己同型写像に持ち上がる為の必要十分条件を得ることが出来た。また、前量子化束がある場合、複素構造に関するある技術的な条件の下で、これらの構造を全て保つ自己同型写像のなす群の正則L2 切断全体の空間へのユニタリ表現の既約分解が得られた。さらに、ファイバー方向に不変で整合的な複素構造のモジュライについて、理解を深めることが出来た。 以上のことから、新型コロナウイルスの影響で生じた研究の遅れを、ある程度、挽回することが出来たと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた研究結果を踏まえて、以下の計画を実施したい。 (1) 研究実績の概要 3. で述べた自己同型群の正則L2表現に関して、まずは具体例を考察し、自己同形群の部分群としてどのような群が現れるのかを調べる。次に、それらの群の正則L2表現の既約成分として、どのような表現が現れるかを調べる。 (2) 先行研究では、トーラスTの余接束への離散群作用による商として得られるLagrangeファイバー束の幾何学的量子化を考えていた。一方で、トーラスTの余接 束にはTの部分トーラスのHamilton作用もあり、離散群作用の代わりに、この作用によるシンプレクティックカットを考えることで、非退化楕円型特異点を許容 する特異Lagrangeファイバー束が得られる。この場合にも、先行研究と同様の研究を行う。特に、特異ファイバーの近傍で二乗可積分な正則切断の断熱極限を考 察する。
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