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Coxeter群の増大度とCoxeter元のスペクトル半径の間のMcKay対応

研究課題

研究課題/領域番号 19K03481
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分11020:幾何学関連
研究機関早稲田大学

研究代表者

小森 洋平  早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70264794)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワードコクセター系 / 基本領域 / サラム数 / Coxeter 群 / 増大度 / Coxeter 元 / スペクトル半径
研究開始時の研究の概要

有限集合Sを生成系とし、Sの任意の元a, bに対し、abの有限個の積を基本関係式とする有限表示群(W, S)をCoxeter系という。 (W, S)の生成系Sによる、群Wの母関数の収束半径の逆数は増大度と呼ばれる。また(W, S)から|S|-次元実アファイン空間に幾何学的実現と呼ばれる鏡映群としての作用が定まり、Coxeter元と呼ばれるWの元のスペクトル半径は、(W, S)の幾何学的実現から一意に決まる。今回の研究では、これらCoxeter系の2つの幾何的量である増大度とCoxeter元のスペクトル半径、および両者の関係を考察する。

研究実績の概要

コクセター系(W,S)の生成系Sによる、群Wの母関数(増大度関数)の収束半径の逆数は増大度と呼ばれ、Sの元が鏡映として空間に離散的に作用する際、Wの基本領域である多面体が空間をタイル張りする拡がり方を表す量である。一方(W,S)から |S|-次元実アファイン空間に W-不変な2次形式Bが定義され、(W,S)の幾何学的実現と呼ばれるWから直交群O(V, B)への単射準同型が定まる。この時コクセター元と呼ばれるWの元のスペクトル半径が、(W,S)の幾何学的実現から一意に決まる。 今年度は2次元双曲コクセター群の指数2の部分群であるフックス群のディリクレ基本領域の形状について研究を行った。具体的には双曲コクセター四角形の4つの辺の鏡映が生成する双曲コクセター群の指数2の部分群であるフックス群(以下、四角群という)のディリクレ基本領域が基点の取り方で何角形になるかを調べた。既存の結果から辺の数は6、8、10の可能性があるが、任意の四角群に対し、双曲コクセター四角形の4つの辺の上に基点を取るとディリクレ基本領域は6角形になり、非調和比から定まる曲線上に基点を取ると8角形になり、その他の場合に10角形になることを数値実験で確認した。先行結果である三角群の場合は、双曲コクセター三角形の3つの辺の上に基点を取るとディリクレ基本領域は4角形になり、内部に基点を取ると6角形になったので、特殊な曲線上に基点を取ると8角形が現れたのは四角群の場合の新しい現象である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は2次元双曲コクセター群の指数2の部分群であるフックス群のディリクレ基本領域の形状について研究を行った。具体的には双曲コクセター四角形の4つの辺の鏡映が生成する双曲コクセター群の指数2の部分群であるフックス群(以下、四角群という)のディリクレ基本領域が基点の取り方で何角形になるかを調べた。既存の結果から辺の数は6、8、10の可能性があるが、任意の四角群に対し、双曲コクセター四角形の4つの辺の上に基点を取るとディリクレ基本領域は6角形になり、非調和比から定まる曲線上に基点を取ると8角形になり、その他の場合に10角形になることを数値実験で確認した。先行結果である三角群の場合は、双曲コクセター三角形の3つの辺の上に基点を取るとディリクレ基本領域は4角形になり、内部に基点を取ると6角形になったので、特殊な曲線上に基点を取ると8角形が現れたのは四角群の場合の新しい現象である。これまでは数値実験のみ行っている現状だが、双曲コクセター四角形の4つの頂点が全て無限遠にある場合(この場合、理想双曲コクセター四角形という)、非調和比から定まる曲線平面は3次曲線になることを示すことができ、ちょうど複素トーラスの切り口のような曲線が基本領域内に現れる。このことは理想双曲コクセター群が一意化する4点穴あき球面が、1点穴あきトーラスとcommensurableであることと関係していないか、現在理論面の考察を行なっている。

今後の研究の推進方策

双曲コクセター四角形の4つの辺の鏡映が生成する双曲コクセター群の指数2の部分群であるフックス群(以下、四角群という)のディリクレ基本領域が基点の取り方で何角形になるかを調べた。既存の結果から辺の数は6、8、10の可能性があるが、任意の四角群に対し、双曲コクセター四角形の4つの辺の上に基点を取るとディリクレ基本領域は6角形になり、非調和比から定まる曲線上に基点を取ると8角形になり、その他の場合に10角形になることを数値実験で確認した。先行結果である三角群の場合は、双曲コクセター三角形の3つの辺の上に基点を取るとディリクレ基本領域は4角形になり、内部に基点を取ると6角形になったので、特殊な曲線上に基点を取ると8角形が現れたのは四角群の場合の新しい現象である。これまでは数値実験のみ行っている現状だが、双曲コクセター四角形の4つの頂点が全て無限遠にある場合(この場合、理想双曲コクセター四角形という)、非調和比から定まる曲線平面は3次曲線になることを示すことができた。このことから基点がディリクレ基本領域の境界から内部を通って動くとき、6角形が8角形になり、更に10角形になる様子を想像することができる。しかしより詳細な考察を行うには、基点の動きと同時進行でディリクレ基本領域が変形するプログラムが必要である。非常に対称性の強い双曲コクセター四角形の場合に、基点の座標を入力すればディリクレ基本領域を求めるプログラムを現在共同研究者が開発したので、このプログラムを今後改良することにより、任意の四角群についてのディリクレ基本領域の形状問題が解決することが期待される。

報告書

(5件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 2019 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022 2021 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 2件、 招待講演 6件)

  • [雑誌論文] 双曲曲面のサークルパッキングに関する Thurston のアルゴリズムの収束について2023

    • 著者名/発表者名
      小森洋平
    • 雑誌名

      学術研究(自然科学編)

      巻: 71 ページ: 1-9

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [雑誌論文] On the area formulas of inscribed polygons in classical geometry2020

    • 著者名/発表者名
      Komori Yohei、Umezawa Runa、Yasui Takuro
    • 雑誌名

      Pure and Applied Mathematics Quarterly

      巻: 16 号: 3 ページ: 557-572

    • DOI

      10.4310/pamq.2020.v16.n3.a8

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 有限上半平面グラフについて2020

    • 著者名/発表者名
      小森 洋平 安井 拓朗
    • 雑誌名

      学術研究(自然科学編 )

      巻: 68 ページ: 51-65

    • NAID

      40022219448

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] On finite upper half plane graphs2019

    • 著者名/発表者名
      Yohei Komori
    • 雑誌名

      Mathematisches Forschungsinstitut Oberwolfach Report

      巻: 17 号: 2 ページ: 12-13

    • DOI

      10.4171/owr/2019/17

    • NAID

      40022219448

    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] On the convergence of circle pattern algorithms2024

    • 著者名/発表者名
      小森洋平
    • 学会等名
      「リーマン面・不連続群論」研究集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] On the convergence of Thurston’s hyperbolic circle packing algorithm2024

    • 著者名/発表者名
      小森洋平
    • 学会等名
      日本数学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Applications of canonical polygons of Zieschang-Vogt-Coldewey2023

    • 著者名/発表者名
      小森洋平
    • 学会等名
      日本数学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Angle parameters for hyperelliptic Riemann surfaces2022

    • 著者名/発表者名
      小森洋平
    • 学会等名
      日本数学会秋季総合分科会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] On Thurston’s algorithm for hyperbolic circle packings2022

    • 著者名/発表者名
      Yohei Komori
    • 学会等名
      Oberseminar Geometrie, University of Fribourg
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 円に内接する多角形の面積公式について2021

    • 著者名/発表者名
      小森洋平
    • 学会等名
      第55回函数論サマーセミナー
    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 双曲コクセター群の増大度について2020

    • 著者名/発表者名
      小森 洋平
    • 学会等名
      日本数学会函数論分科会特別公演
    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] On finite upper half plane graphs2019

    • 著者名/発表者名
      Yohei Komori
    • 学会等名
      Mini-Workshop: Reflection Groups in Negative Curvature
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] タイヒミュラー空間の角度パラメータについて2019

    • 著者名/発表者名
      小森洋平
    • 学会等名
      タイヒミュラー空間と双曲幾何学
    • 関連する報告書
      2019 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2019-04-18   更新日: 2024-12-25  

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