研究課題/領域番号 |
19K03496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
鎌田 直子 名古屋市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (60419687)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 結び目 / 仮想結び目 / 溶接結び目 / 不変量 |
研究開始時の研究の概要 |
拡張結び目とは結び目の概念を拡張した研究対象で、結び目図式を表す Gauss 図式から実現される仮想交点を許した結び目図式のある種の同値類である仮想結び目が代表的な例である。その他に溶接結び目、twisted knotなどがある。これらと4次元内のリボン曲面、結び目の不変量との関係が知られており、結び目の分類にも応用される.また国内外で活発に研究されている。本研究では、これらの拡張結び目を様々な観点から解析することにより広い概念からの結び目理論における解析手法の発展を目指す。
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研究実績の概要 |
該当年度は研究目的の1つである拡張結び目の幾何的構造の究明に関して成果を得た。 古典的絡み目は3次元空間内の複数個の円周である。古典的絡み目を平面に射影して2重点に上下の情報を与えた図形を絡み目ダイアグラムという。また、同値な絡み目の変形に対応する絡み目ダイアグラムの変形をReidemeister変形という。すなわち1つの絡み目に対応する2つの絡み目ダイアグラムはReidemeister変形で移り合う。該当年度は、拡張絡み目である溶接絡み目、仮想絡み目、twisted linkのダイアグラムの性質について成果を得た。 古典的絡み目に次の先行研究がある。絡み目のいくつかの円周からなる部分集合も絡み目とみなすことができる。この部分絡み目に対応する絡み目ダイアグラムの部分集合を部分絡み目ダイアグラムと呼ぶ。部分絡み目ダイアグラムを取り出して、それをReidemeister変形で異なる絡み目ダイアグラムに変形することができる。先行研究では絡み目ダイアグラムの部分絡み目ダイアグラムがその絡み目ダイアグラム内でその部分絡み目の補集合に対応する絡み目ダイアグラムを変形させることなくReidemeister変形可能であることが示された。これによって、絡み目ダイアグラムの部分絡み目ダイアグラムはその絡み目ダイアグラムの中でその部分絡み目に対応する任意の絡み目ダイアグラムに変形できることがわかる。 溶接結び目ダイアグラムに対しては同様な性質を持つことを示した。仮想結び目ダイアグラムに対しては同様の性質が成立しないことが、研究代表者の提案したcyclic coveringの手法を用いることによって示すことができた。twisted linkダイアグラムに対してもdouble coveringとcyclic coveringの手法を用いて同様の性質が成立しないことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
拡張結び目に対して幾何的構造の究明、不変量の性質の解明、不変量を含めた新たな研究手法の確立すること、結び目や曲面結び目の研究への応用手法の構築が本研究の目的である。 仮想結び目のalmost classical化写像の構築をに成功した。この写像の像は元の仮想結び目の性質を反影しておりこの像の解析を行うことによって元の仮想結び目の性質の研究につながる。不変量によらない仮想結び目の解析手法に応用できると考えられる。 Georitz不変量は古典的結び目の不変量であるが仮想結び目に自然に拡張することはできない。先に定義したalmost classical化写像を応用して2種類のGeoritz不変量を仮想結び目に定義し応用例を示した。また、2種類のGeoritz不変量の性質について検討しいくつかの成果を得ている。その他の仮想結び目不変量の性質についても検討した。 さらに、このGoeritz不変量の1つは溶接結び目の不変量であることを示した。溶接結び目は4次元内のリボン絡み目と対応しており、曲面結び目の研究への応用へ結びつく。 該当年度は、仮想絡み目、溶接絡み目、twisted linkのダイアグラムの性質について検討して、溶接絡み目ダイアグラムの性質は古典的絡み目ダイアグラムと類似しているが、仮想結び目ダイアグラムとtwisted linkダイアグラムの性質は古典的絡み目のそれとは異なることを示した。これの結果は幾何学的構造の究明につながる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、拡張結び目に対して幾何的構造の究明、不変量の性質の解明、不変量を含めた新たな研究手法の確立、結び目や曲面結び目の研究への応用手法の構築である。それぞれの目的に対して以下のような主な成果が得られている。 拡張結び目に対して幾何的構造の究明:仮想結び目に対してalmost classical化写像を導入した。さらに、仮想絡み目、溶接絡み目、twisted linkのダイアグラムの性質を発見した。 不変量の性質の解明、不変量を含めた新たな研究手法の確立:仮想結び目に対してalmost classical化写像を導入したが、それを利用して仮想結び目、溶接結び目のGoeritz不変量を導入し、さらに研究を進めてその不変量の性質に関する成果を得られた。 結び目や曲面結び目の研究への応用:定義したGoeritz不変量の1つは溶接結び目の不変量である。溶接結び目は4次元内のリボン絡み目と対応しており、曲面結び目の研究への応用ができる。 各目的に関して上記のような成果を得られているが、今後はさらに新しい不変量の導入を模索し、不変量の計算などを行い性質について研究していく。また、結び目や曲面結び目の研究への応用についても従来の手法を参考にさらなる手法を求める。拡張結び目の幾何的構造に対してもさらなる解析を行い新しい研究手法に発展させる。これらの目的を達成するため、情報収集を行い、研究成果を発表するために研究集会、学会、国際会議に参加する予定である。さらに研究協力者や他の研究者と打ち合わせを行う予定である。
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