研究課題/領域番号 |
19K03498
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
笠原 泰 高知工科大学, 共通教育教室, 准教授 (80299370)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 写像類群 / 曲線加群 / Johnson filtration / 幾何的交叉 / 線型表現 / 位相幾何 / 幾何的群論 / 曲線複体 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに研究代表者が発見した, 曲面の写像類群における線型性の視覚化の観点から生じる問題の位相幾何的研究をさらに継続・発展させる. そのために, 線型性の視覚化を記述する枠組みを与える一般論の整備に努め, また, 既知の具体例や, 派生する具体的問題をより深く追求し, さらに両者の連関を検討する. その結果として, TQFT表現を始めとする写像類群の既知の表現に, 簡明かつ統一的な理解をもたらすことが期待される.
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研究実績の概要 |
前年度に引き続き, これまでに研究代表者が発見し研究してきた,曲面の写像類群における線型性の視覚化の観点から生じる問題の位相幾何的研究を継続・発展 させるため,線型性の視覚化を記述する枠組みを与える一般論の整備に努め,既知の具体例や,派生する具体的問題をより深く追求しさらに両者の連関を検討した。 より具体的な項目としては以下の通り: (1) 曲線加群の基礎理論に関して: これまでに知られている唯一のスケイン型有限次元曲線加群である,Luoの表現の代数的性質について引き続き検討した。 その他,曲面の写像類群のTQFT表現、スケイン加群の表現理論など、関連すると思われる諸理論を検討した。 (2) Johnson filtrationと幾何的交叉の関係の定量的研究: これまでに,単純な代数的計算によれば反例があるように見えていた或る命題の次数4の場合が,実際には成り立っていることを,自由リー代数のホール基底を用いて証明していたところ,さらに一般次数の場合の命題の成否を決定すべく予備的考察を続けた。特に, いわゆるJohnson準同型像の榎本-佐藤障害との関係を検討した。 (3) 曲線加群の次元の有限性との親和性が期待される,Church-FarbらによるFI加群の理論について引き続き検討した。 (4) 写像類群の低次元複素線型表現の分類の検討: すでにarXivにて公開した, 種数gのコンパクト有向曲面の写像類群の,gが7以上の場合に対する2g+1次元複素線型表現の共役による分類結果の証明の簡易化検討のため, Margalit-Kordekにより始められたtotally symmetric set との関係を検討すべく予備的調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は, 数学理論についての基礎研究で, その対象は本質的に予測不能のものであり, 試行錯誤により知見を積み重ねてゆく性質のものである. その試行 錯誤の内容は「研究実績の概要」に述べた通りであり, おおむね順調に進展している.
予算執行上は, 研究期間の再延長を行ったところではあるが, これは今般のいわゆるコロナ禍のため, 参加できると期待していた, すべての国内の研究集会, 国際会議が中止または延期となってしまったためであり, 替わりに開かれたオンラインによる学術的会合にリモートで参加することで, 対面参加できなかったことによる不具合は概ね免れている.
以上2点に鑑みて, 本研究課題の研究代表者としては, この評価が妥当と考える.
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で述べた項目を, 引き続き継続・発展させる. あわせて, 研究全体に対する視点をより深めるため, また当初の見込み通りに研究が進展しない場合に備え, 関連する理論を調査・検討する. その結果も踏まえつつ, 次に進めるべき項目の妥当性についても検討を続け, 必要に応じて研究項目の組み替 え・整理を行いつつ 本来の目標を目指して研究を続けてゆく.
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