研究課題/領域番号 |
19K03503
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分11020:幾何学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
野原 雄一 明治大学, 理工学部, 専任准教授 (60447125)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ミラー対称性 / 旗多様体 / 完全可積分系 / クラスター代数 |
研究開始時の研究の概要 |
(A型の)旗多様体のミラー多様体はクラスター多様体の構造を持つ. この構造は, 特殊線形群の既約表現(旗多様体上の層のコホモロジーとして得られる)の標準基底と深く関わる. この層のコホモロジーはSYZミラー対称性の描像では, 適当な完全可積分系のLagrange切断のFloerホモロジーと同型になると期待される. 2次元部分空間のなすGrassmann多様体の場合には, ミラーのクラスター多様体構造が, Grassmann多様体上の完全可積分系の幾何学から得られることが分かっている. 本研究ではこれを一般化し, 表現の標準基底をFloerホモロジーの立場から理解することを目標とする.
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研究実績の概要 |
A型(特殊線型群)の旗多様体のミラー対称性について、特に、特殊線型群の表現論(旗多様体上の複素幾何)とミラー多様体のLagrange部分多様体に対するFloer理論(シンプレクティック幾何)との関係について研究している。Strominger-Yau-Zaslowによるミラー対称性の描像により、旗多様体上の正則直線束のコホモロジー(すなわち、特殊線型群の既約表現)は、ミラー側のLagrangeトーラスファイブレーションのLagrange切断のFloerホモロジーと同型になると考えられる。本研究では、Lusztig、Berenstein-Zelevinsky らにより導入された表現の“標準基底”と、ミラー側のLagrange切断の交点たちが与えるFloerホモロジーの“標準的”な基底の関係について調べている。旗多様体のような正曲率の多様体(Fano多様体)のミラーは非コンパクトな多様体となり、Lagrange切断としては境界付きのLagrange部分多様体を考える必要がある。この境界条件の設定にはいくつかの流儀がある。昨年度は、角付き多様体内のLagrange切断を考察していたが、それよりもスーパーポテンシャルと呼ばれる関数のレベルセットを境界とするLagrange部分多様体を考える方が良さそうであることが分かってきたため、今年度はこの方向に転換することにした。この方法で定式化するためには、レベルセットの“トロピカル極限”が適切なトロピカル多様体になっていることを確かめる必要があるが、Lagrangeファイブレーションに特異ファイバーがある場合のトロピカル極限の研究はあまりされていないため、2023年度はこの研究を中心に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
旗多様体のミラー多様体上でLagrange切断のFloerホモロジーを考えるためには、まず特異ファイバーを持つLagrangeトーラスファイブレーションにおいて、ファイバーの直径を小さくする“トロピカル極限”の下での部分多様体の挙動を調べる必要がある。この極限はミラー多様体上のKaehler計量の選び方に依存する問題である。既存の結果にはこのような状況を扱ったものがあまりないため、基本的なことから調べる必要がある。この新たな問題に取り組むことになったため、当初の計画には遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に行った研究で、focus-focus特異点を持つファイバーが存在するLagrangeファイブレーションの理解がある程度進んだ。今年度はこの理解をさらに推し進め、3次元旗多様体の場合に適切なクラスのLagrange切断を構成し、そのFloerホモロジーと既約表現の標準基底の比較を行うことを目標とする。
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