研究課題/領域番号 |
19K03513
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
藤川 英華 東京工業大学, 理学院, 准教授 (80433788)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 複素解析学 / リーマン面 / タイヒミュラー空間 / 擬等角写像 / 双曲幾何 / モジュライ空間 / 双曲幾何学 / タイヒミュラーモジュラー群 / 漸近的タイヒミュラー空間 / 力学系理論 |
研究開始時の研究の概要 |
無限次元タイヒミュラー空間上の複素力学系的理論を構築し,モジュライ空間の構造を調べる.タイヒミュラー空間は曲面に入る複素構造の変形空間であり,数学のあらゆる分野で研究されている重要な対象である.無限型リーマン面に対するタイヒミュラー空間は無限次元になり,その上に作用するタイヒミュラーモジュラー群の軌道の様相は非常に複雑になり,特に一般には作用が不連続ではないことから,商空間として得られるモジュライ空間には幾何構造が入らない.本研究ではタイヒミュラーモジュラー群それ自身やその様々な重要な部分群の作用に対する離散性条件を解明し,様々な相におけるモジュライ空間の構成可能性を分析する.
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研究実績の概要 |
漸近的等角写像を用いた漸近的タイヒミュラー空間の研究をもとに,タイヒミュラーモジュラー群それ自身やその様々な重要な部分群の作用に対する離散性条件を解明することを考える.特に,リーマン面の双曲幾何学的条件のもと,漸近的タイヒミュラーモジュラー群の不連続点が存在することを証明すべく,漸近的等角類空間の固定化群の作用の離散性を考察した. 擬等角写像類群の漸近的タイヒミュラー空間への作用は漸近的等角類空間上の作用を通して考察することができる.測地線スペクトラムの集積点集合の全体である本質的測地線スペクトラムを用いると,離散性の本質が見えてくる.実際,測地線スペクトラムは曲面の双曲構造を決定するためのデータとして頻繁に用いらいる.漸近的等角同値のリーマン面に対しては,本質的測地線スペクトラムは一致するが,本質的測地線スペクトラムの一致が漸近的等角同値を必ずしも導かない.本質的測地線スペクトラムが一致しているが,漸近的等角同値ではないリーマン面の本質を見抜き,一般的な主張に拡張するように試みた. リーマン面の複素構造の変形空間であるタイヒミュラー空間の研究において,付随する双曲構造の変形に伴い,変化する各測地線の長さを比較して変形度合を測ることが可能であり,それを用いて定義されるタイヒミュラー空間上の距離にはサーストンの非対称距離や測地線スペクトラム距離などがある.特に,無限型リーマン面のタイヒミュラー空間の研究では,測地線スペクトラムの解析に負う議論が大きい.漸近的タイヒミュラー空間上にも漸近的測地線スペクトラム擬距離を導入することができるが,必ずしも距離になるとは限らない.タイヒミュラー 距離と測地線スペクトラム距離との比較を行うことで,これまでに得られていた無限次元タイヒミュラー空間上のタイヒミュラーモジュラー群の力学的考察と融合させることを試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としている研究の主要な部分について,結果を得ることができている.また最終年度に向けて,考察するべき内容と課題も具体的に明らかになっている.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた結果を講演により成果を公表する.また研究連絡やセミナーでの講演を行い,関連する研究者と意見交換をする.最終年度のため,研究の総括を進めるが,新しい視点により議論が進展する可能性もあるので,周辺分野の研究動向も掴み,考察に取り入れる.
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