研究課題/領域番号 |
19K03521
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
木村 弘信 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 名誉教授 (40161575)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 超幾何函数 / Hemite行列積分 / holonomic系 / Grobner基底 / 隣接関係式 / 行列積分 / Radon変換 / Capelli恒等式 / 超幾何関数 / 量子Painleve系 / 準直交多項式 / semi-classical 直交多項式 / Random matrix |
研究開始時の研究の概要 |
特殊関数は数学だけでなく,物理学や工学においても重要な役割を果たしている.特に Gauss の超幾何関数とその合流型関数や,Gel’fand と申請者によって導入され,これらをその一部として含む Grassmann 多様体 Gr(2, N ) 上の一般超幾何関数はその中の主要な位置を占めている.本研究おいては,その積分表示を行列積分の形て拡張し,これらを統御する holonomic な微分方程式および, Lie 群論(対称錐 の幾何)の視点から特殊関数論を構築する. 特にGaussの超幾何やBessel関数を行列積分として拡張したものは多変量解析においてすでに用いられている.
|
研究実績の概要 |
本研究の目標はGauss の超幾何函数とその合流型函数の一般化としてGel’fand と申請者によって導入されたGrassmann 多様体 Gr(2,N) 上の一般超幾何函数の 積分表示をHermite行列積分の形で拡張し,これらを統御する holonomic系の構築と非線形可積分系との関係を明らかにし, Lie 群論(対称錐の幾何)の視点か ら特殊関数論 を構築することとしている。 今年度は,Gr(2,4) 上の一般超幾何函数の積分表示をHermite行列積分の形で拡張したものの満たす微分方程式,そのholonomy性の研究及びLauricella超幾何函数の隣接関係の研究を行なった. 得られた知見は以下の通りである. (1) Gr(2,4) 上の4の任意の分割に対するGelfand超幾何函数を n次のHerimite行列に関する積分として拡張した超幾何函数に対して,その満たす微分方程式系を導出した.また,微分方程式を与える微分作用素が生成する微分作用素環のイデアルのGrobner基底を計算しそれらがholonomic系でそのrankが 2^nであることを示した.これらはGauss, Kummer, Bessel, Hemite-Weber,Airy関数の拡張に相当している. (2) n変数Lauricella超幾何函数F_A,F_BについてGelfand超幾何函数の立場から考察しそれらがGr(n+1,2n+2)の余次元 n の同じstratumにおける超幾何函数であることを示し,その隣接関係を与える微分作用素のなすLie環の構造を決定した.さらに隣接関係式を具体的に与える統一的な手法を与えた.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初の本研究の計画の目標には到達していないが, 長い間証明できていなかったHermite行列積分で定義されるHemite-Weber, Airy函数の拡張の満たす微分方程式を導出することができ,その微分作用素たちの生成する微分イデアルのGrobner基底を計算することにより,そのholonomy性が証明できた.加えてGauss, Kummer, BesselのHermite行列積分への拡張について,既にFaraut-Koranyiらが与えていた方程式を別の方法で導出できた.
|
今後の研究の推進方策 |
今までと同様にRadon変換の視点から, 行列積分で定義される超幾何関数の研究をさらに深化させたい. 函数を特徴付ける微分方程式系を得ることやそのholonomic性, 解空間の次元,解空間の基底の決定が重要である. また,現在扱っているのはA型単純Lie群(代数群)に付随するHermite対称空間であるGrassmann多様体上のRadon 変換による超幾何函数である.他のHermite対称空間についても超幾何微分方程式がTanisakiによって考察されている.この場合に解の積分表示の具体形と関連 する位相幾何学的な問題や概均質ベクトル空間におけるb函数との関連を詳しく調べてみたい.
|