研究課題/領域番号 |
19K03532
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
洞 彰人 北海道大学, 理学研究院, 教授 (10212200)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 漸近的表現論 / 自由確率論 / ヤング図形 / 対称群 / スケール極限 / ランダムウォーク / 分岐グラフ / 連続時刻ランダムウォーク / 制限誘導連鎖 |
研究開始時の研究の概要 |
漸近的表現論と確率モデルのスケール極限の融合的な研究を推進する。群の表現の分岐則という枝分れ構造の積み重ねがうみだすランダムな現象に着目する。特に動的なモデルを重視する。扱うモデルは、ヤング図形からなる統計集団、ヤング図形上の連続時刻ランダムウォーク、プロファイルおよびそのゆらぎの時間発展、群の帰納系の分岐グラフとそのマルチン境界、帰納極限群の指標等である。確率モデルのスケール極限の計算に応用するために漸近的表現論の道具を開発すること、表現の漸近挙動を明らかにするために確率論の極限定理を工夫することというふうに、漸近的表現論と確率モデルの解析を表裏一体のものと認識して双方向的な研究を進める。
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研究成果の概要 |
巨大な群の作用の構造を解明するため、群の表現の特性量がもつ統計的な性格に着目するのが、漸近的表現論の骨子となる考え方である。漸近的表現論と確率モデルのスケール極限について、双方向性を意識した融合的な研究を展開することが、本研究の基本的な枠組である。本研究では、群の表現のさまざまな場面に現れるヤング図形の集団や表現の分岐則を記述する分岐グラフを対象とし、時空のスケール極限によって得られるヤング図形のマクロな極限形状の時間発展や分岐グラフの彼方にある理想境界など、群の作用の漸近挙動と確率的な特性を反映するモデルを取り扱った。このようなモデルの構築とその性質の解明において、いくつかの研究成果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
確率的な考え方は現代科学の幅広い分野に浸透している。ネットワーク科学の発展に伴って大規模な構造を取り扱う必要が増していることも、その一因であろう。古典的なフーリエ解析から発展した表現論・調和解析は、対称性を指導原理とし、複雑な物を単純な因子に分解して理解しようという洗練された数学理論である。本研究の基盤となる漸近的表現論のアイデアの核心は、確率論と表現論の融合である。ランダムで複雑な現象の解明に数学を用いてアプローチしようとする際に、有力な視座を与えることが期待される。本研究では、対称群やヤング図形といった具体的な対象に即したモデルを精密に解析することにより、その融合の一つの相を明らかにした。
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