研究課題/領域番号 |
19K03551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2022) 京都産業大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
矢野 裕子 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (10337462)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 処罰問題 / マルコフ過程 / 拡散過程 / レヴィ過程 |
研究開始時の研究の概要 |
処罰問題は,Roynette-Vallois-Yor(2006)によって提唱された種々の汎関数によって重み付けられたウィナー測度に対する極限定理である.処罰問題は,それ自身が意義のある興味深い問題であるが,一般化によって処罰問題の仕組みや構造を明らかにすることは,確率過程の性質等を明らかにすることであり,マルコフ過程,特に一次元過程の精微な性質を得るための一つの手法とも言うことが出来る. 処罰問題を様々な角度から考察することで,一次元拡散過程及び一次元レヴィ過程の未知の性質を捉え,広い応用を考察することが本研究の目的である.
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研究実績の概要 |
マルコフ過程,特に一次元拡散過程及び一次元レヴィ過程に対する処罰問題を通して,処罰問題の構造,更には確率過程そのものの構造を探ることを目的としている.2022年度は主に,重み汎関数を最大値過程とする場合の処罰問題を考察し,いくつかの問題を解決した. 1.Najnudel-Roynette-Yor(2007)は,重み汎関数に依らずに処罰問題を統一的に論じるシグマ有限測度を導入し,離散時間マルコフ連鎖(一次元単純対称ランダムウォークを含む)の場合にもこれを構成したが,重み汎関数による個別の収束については何も述べていなかった.そのため,一次元単純対称ランダムウォークに対して重み汎関数が最大値過程の関数である場合の処罰問題を考察し,その収束を証明した.また,極限測度がFujita-Yagishita-Yoshida(2022, preprint)によって導入された離散アゼマ-ヨールマルチンゲールによって特徴付けられることを明らかにした.以上の結果を纏めた論文を現在執筆中である. 2.Yano-Yano-Yor(2010)による一次元安定過程の最大値過程による処罰問題の結果において,ある仮定を緩めることに成功した.現在論文を執筆中である. 3.処罰問題を含む解説記事を執筆し,それが雑誌「数理科学」(サイエンス社)の2022年11月号に掲載された. 4.矢野孝次氏(京都大学)及びC. Profeta氏(フランス・イヴリヴァルデソンヌ大学)との継続している共同研究において,一次元拡散過程の最大値過程による処罰問題を引き続き考察した.現在も共同研究を継続中である. 5.L. Chaumont氏(フランス・アンジェ大学)との共同研究において,正の跳びを持たない自己相似マルコフ過程の初到達時刻に関する研究を行った.現在も共同研究を継続中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は最大値過程による処罰問題についていくつかの結果を得ることが出来,研究は概ね順調であったと言える.しかしながら,それ以前はコロナ禍による社会的混乱のために思うように出張や招聘が出来ない等の困難があり,結果として現在までの進捗としてはやや遅れていると言わざるを得ない.オンラインツールを活用して研究は着実に進められている.
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今後の研究の推進方策 |
1.既に得られたいくつかの結果についての速やかな論文執筆及び公表. 2.一次元拡散過程に対する最大値過程による処罰問題の解決. 3.新しい重み汎関数に対する処罰問題の考察.特に,一次元安定過程及び一次元拡散過程に対する滞在時間に関する処罰問題の解決. 4.正の跳びを持たない自己相似マルコフ過程の初到達時刻に関する研究.更に,その処罰問題への応用の考察.
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