研究課題/領域番号 |
19K03555
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
黒木場 正城 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (60291837)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 空間2次元初期値問題 / 特異極限 / KellerーSegel方程式系 / Lebesgue-Bochner空間 / scaling critical space / 熱方程式の最大正則性 / 大きな初期値 / 移流拡散方程式 / 特異極限法 / 有限時間爆発解 / 高速拡散退化型放物型方程式 / 粘菌 |
研究開始時の研究の概要 |
スケール不変臨界関数空間上で,空間次元,粒子成分数ごとに非線型移流拡散方程式系の問題に対して,有限時間爆発解と時間的大域解の数理構造を中心とした数学解析法を行なう.最大値原理による未知関数の正値性,エントロピー保存則とvirial 法則が成立することを確認の上,2次モーメントの精密な計算と情報理論によるShanonnの不等式の適用により,有限時間爆発解の存在証明とその初期条件を計算する.また解の時間大域的適切性は, 解の臨界ノルムの有界性が基本になる. 積分方程式の解の臨界ノルムに対するa priori 評価とNash-Moser型の反復法による正則性の計算を行なう.
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研究実績の概要 |
粘菌集合体形成の生物数理モデルは, Keller-Segel 方程式と呼ばれる二つの放物型偏微分方程式の系で記述される.この方程式系の研究のブレイクスルーとなった1995年のNagaiの研究は, 粘菌の走化性放物型方程式の時間発展スケールを粘菌密度関数のそれより極めて小さいと考え導出した,Nagaiモデルと呼ばれる放物型-楕円型偏微分方程式系の数学解析である.本研究の移流拡散方程式系の研究はその多くがNagaiモデルを礎とした放物型-楕円型移流拡散方程式系の数学解析である.Keller-Segel方程式系とNagaiモデル方程式系の数学的相関関係を明らかにすることは極めて重要な研究課題である. 本年度は, Keller-Segel方程式系の走化性方程式の時間微分項に緩和時間パラメータτを設置した初期値問題を空間2次元と空間高次元の問題に分けて,解のτ→∞での特異極限問題をそれぞれ考えた. 極限方程式はNagaiモデルである放物型-楕円型移流拡散方程式系と期待できる.Raczynski(2009) とBiler-Brandolese(2009)の先行研究は空間2次元初期値問題に対してscaling 不変なクラスの小さい初期値の時間大域解に対して, 特異極限が行われたもので,その収束位相空間は擬測度空間あるいはLorentz空間である. しかも大きな初期値に対する時間爆発解の議論が含まれていない.本研究では空間2次元および高次元において,大きな初期値に対する時間局所解もふくむ問題に対して,scaling 不変な,Serrinの許容指数を持つLebesgue-Bochner空間で, 自然な特異極限の解析に成功した. 解析には熱方程式の初期値問題に対する, 一般化された最大正則性を用いて, 臨界空間の設定のまま解の平滑化効果から生じる余剰正則性を用いずに, 漸近収束を証明する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では空間2次元,高次元での大きな初期値に対する時間局所解をふくむ初期値問題に対して,scaling 不変な,Serrinの許容指数を持つLebesgue-Bochner空間で, 自然な特異極限の解析に成功した. 解析には熱方程式の初期値問題に対する, 一般化された最大正則性を用いて, 臨界空間の設定のまま解の平滑化効果から生じる余剰正則性を用いずに, 漸近収束を証明する.
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今後の研究の推進方策 |
粘菌集合体形成の数理モデルとして現れるいくつかの移流拡散方程式系、医学に現れる腫瘍形成方程式系のそれぞれについて数学的相関関係を証明する。
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