研究課題/領域番号 |
19K03562
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高坂 良史 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (00360967)
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研究分担者 |
石井 克幸 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (40232227)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | Canham-Helfrich汎関数 / 閾値型近似アルゴリズム / 表面拡散方程式 / 自己相似解 / Willmore流 / 4階線形熱方程式 / 閾値型アルゴリズム / 進行波解 / 幾何学的発展方程式 / 4階放物型偏微分方程式 / Delaunay曲面 / 表面拡散 |
研究開始時の研究の概要 |
表面拡散は普遍的な原子の輸送機構であり、その形態変化は物理現象として複雑かつ多彩で、表面拡散による界面の形態変化の解析は研究対象として興味深いものである。本研究では、表面拡散による界面の形態変化を表すモデル方程式の1つである表面拡散方程式を研究対象とし、表面拡散方程式によって時間発展する曲線・曲面の時間大域的な挙動や、その過程で現れるトポロジカルな変化をともなう特異性とその発生前後の挙動を解析学的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
生体膜の曲げエネルギーを表す数理モデルの1つであるCanham-Helfrich汎関数の勾配流に関する閾値型近似アルゴリズムの研究と表面拡散による結晶成長のモデル方程式の1つである表面拡散方程式に関する自己相似解の研究を行った。 Canham-Helfrich汎関数の勾配流の閾値型近似アルゴリズムについては、収束先となる弱解の構成方法について、Lax-Ottoの2020年の論文をもとに検討を行った。具体的には、4階線形放物型偏微分方程式に対する熱量の漸近展開をもとにCanham-Helfrich汎関数の近似式を導出し、その近似式に対してminimizing movementの手法を適用して弱解が構成できるか検討を行った。その検討と並行して、曲面の表面積と曲面が囲む体積が時間に依らず一定という制限条件を課した場合のLagrange未定乗数の構成についてBarrett-Garcke-Nurnbergの2008年の論文をもとに検討を行った。その結果、汎関数の第1変分を用いることでLagrange未定乗数が表記されることが分かった。 表面拡散方程式の自己相似解については、自己相似解の存在証明で必要になる非同次境界条件をもつ4階線形放物型偏微分方程式の厳密解を超関数の意味で正当化した。また、その線形問題の解の適切な関数空間での評価、非線形問題の自己相似解の不動点定理を用いた存在証明において利用される写像の構成と弱解の定義について、Asai-Gigaの2014年の論文をもとに検討を行った。その結果、3次導関数に関する非同次境界条件の影響がAsai-Gigaの論文の場合と本質的に異なり、解析を進めるためには適切な関数空間の設定も含め新たなアイデアを必要とすることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
閾値型近似アルゴリズムについては収束証明まで行う予定であったが、近似解の収束先となる弱解の構成には新たなアイデアが必要であり、現段階ではその構成ができていない。また、表面拡散方程式に対する自己相似解については、非同次境界条件の影響が既存の結果と本質的に異なる部分があり、その解析方法の構築がまだできていない。以上から、進捗状況は「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
Canham-Helfrich汎関数の勾配流に関する閾値型近似アルゴリズムの収束証明については、参考文献の検討によって得られたアイデアをもとに、収束先となる弱解の構成とその弱解への収束証明を試みる。また、それに並行して、曲面の表面積と曲面が囲む体積が時間に依らず一定という制限条件を課した場合の閾値型近似アルゴリズムの導出を試みる。表面拡散方程式の自己相似解については、本年度の検討で既存の結果との相違点が明確になったので、その相違点に留意しつつ、解析を進める上で適切な関数空間を設定し解析を進める。
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