研究課題/領域番号 |
19K03582
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東京女子大学 (2020-2023) 山梨大学 (2019) |
研究代表者 |
厚芝 幸子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (20327761)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 不動点 / 単調写像 / 単調点列 / 非拡大写像 / 不動点近似 / バナッハ空間 / 非拡大半群 / アトラクティブポイント / 凸解析学 / 最適化理論 / 不動点理論 / 非線形問題 / 非線形関数解析学 |
研究開始時の研究の概要 |
不動点理論は非線形数学の中で中核をなし,非線形問題は各々何らかの非線形写像の不動点の問題と捉えられ,その非線形問題の解を求める事は不動点近似に繋がる.未解決の非線形問題・新しいタイプの非線形問題へ繋がる事から,不動点を一般化したattractive pointを考慮した不動点理論の重要性が分かってきた.そこで,不動点・attractive pointも考慮して,不動点定理・不動点近似に関連する非線形関数解析学を研究する.特に最近非線形問題に強く結びつくことがわかってきた写像・作用素に対して,基礎的性質の研究から始め,不動点近似法の適用を研究する.それを基に非線形問題の解を求める問題を研究する.
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研究実績の概要 |
2023年度は,凸解析・不動点理論を介した非線形関数解析学のうち, 収束定理の構造的考察を中心にすすめ, 特に点列近似法による写像族の共通不動点および共通アトラクティブポイントへの収束定理の研究をした. 未解決事項が多い, 軌道自体の収束定理に繋がるorderedバナッハ空間における共通不動点への収束定理を中心に研究した.それを基にあらたに使いやすい不動点近似法を探究した. 最近注目されている最適化問題や均衡問題等の非線形問題の課題・問題点を的確に把握し, 数学的(関数解析学的)に再構成して問題点を洗い出すことから始めた. 非線形問題への結びつきを考慮して1つの写像だけなく, 特に任意有限個のmonotone nonexpansive mappingの族の共通不動点集合, 共通アトラクティブポイント集合を考察し, それらの相互関係および基礎性質も探究し, 以下のような研究成果を得られた. 主たる成果として, ordered一様凸バナッハ空間の有界部分集合において, 平均(average)のアイディアを用いたMann型の不動点近似法により任意有限個のmonotone onexpansive mappingからなる族の共通不動点, 共通アトラクティブポイント集合への収束定理を得た. さらにW-mappingのアイディアを用いて非可換な任意有限個のmonotone onexpansive mappingからなる族の共通不動点への収束定理も得られた. またmonotone nonexpansive mappingからなる半群に対する収束定理も得た. 得られた収束定理は他のタイプの収束定理にも用いられる考え・補題を与える研究成果となった. 軌道収束の構造に関する重要な研究成果を得られ, 最近の非線形問題への足掛かりとなる成果となり, それらは国際的論文誌に掲載または掲載決定された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響で開催日程が延期になっていた研究集会が多かったため, 研究集会で論文発表することが遅くなったものもあったが, 以下のようにさらに進展した研究成果も併せて論文発表・議論できたこともさらに研究を進展させることにつながった. 具体的には, 研究代表者のこれまでの準備や知識もとにして, さらに多くの文献収集やその整理, ならびに, この研究に興味を持っている研究者と対面だけでなくてオンラインで多くの研究討論をしたことなどが功を奏して, 研究を進められた. さらに2023年度は対面で議論をすすめたり, 評価を得られたことも理由となって順調な進展を得た.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度までに得られた研究成果及び既存の不動点近似に関する成果の考えを基に以下の研究をすすめる: 1.最近注目されつつある非線形問題および他の不動点近似にも有効であるとわかってきた写像であるmonotone nonexpansive mapping, monotone generalized-nonspreading mapping, Suzuki-type nonexpansive mapping, (α,β)-nonexpansive mappingおよびそれらに関連する写像, それら写像族の(共通)不動点集合, 共通attractive point集合および共通acute point集合について基礎性質から探究し, さらに相互関係について系統立てた成果をだせるように研究をすすめる. 2. ordered狭義凸バナッハ空間のコンパクト凸集合において, またorderd一様凸バナッハ空間において, 1で記した写像族の共通不動点へ, および共通attractive pointへの収束定理について, 近接点法,マン型,ハルパーン型, CQ型を改良した不動点近似法を用いる形で研究する. 3.1.2の研究をもとに測地空間における不動点へ,attractive pointへの収束定理の研究をすすめる. 特に写像族に対する収束定理の研究は 測地空間ではまだあまり進められていないが有用性が認識されはじめたので測地空間おける写像族に関する基礎性質の研究からはじめて, 写像族に対する収束定理の研究をすすめる. 4. 不動点やattractive pointをもとめる点列近似法に関する理論の発展とその非線形問題への応用の研究のうち, 特に融合問題に関して, 1~3の研究成果を基にして, 使いやすい近似法を探求する.
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