研究課題/領域番号 |
19K03588
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪府立大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
壁谷 喜継 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70252757)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | Choquard 方程式 / 球対称解 / 連立楕円型偏微分方程式 / Pohozaev value / 線形化固有値問題 / 分岐解析 / ルジャンドルの陪関数 / ベッセル関数 / 固有値 / 固有関数 / Gel'fand 問題 / スカラーフィールド型非線形楕円型方程式 / 分岐構造 / 特異解 / Laplace-Beltrami 作用素 / ねじれ関数 / 楕円型偏微分方程式 / 球面 / 楕円型偏微分作用素 / 分岐解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究目的は、以下のことを主題として、固有値・固有関数に関する数学的な解明にあたることである。まず、以下の1と2について調べあげ、領域の形状と固有値・固有関数の関係を明らかにする。その知見を生かして、動物の被毛パターンをモデルとするような非線形方程式の解の安定性解析など非線形問題へ応用し、非線形問題を解明することである。 1.領域の形状と楕円型偏微分作用素の固有値・固有関数の関係。 2.領域の摂動と固有値の漸近挙動の関係。 3.動物の被毛パターンを記述とする方程式など非線形問題の安定解と分岐論との関係。
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研究実績の概要 |
今年度は、金属中の自由電子の定常的挙動のを記述する非線形の楕円型連立方程式である Choquard 方程式系にポテンシャル項がついた連立楕円型偏微分方程式の解の構造について研究を行った。 Choquard 方程式系は連立方程式であるため、単独方程式の場合とは扱いがかなり異なる。幸い、この方程式には変分構造が入り、変分的手法(函数解析的手法)が適用できるが、無限遠方では十分速く減衰する解しか捕らえることができない。さらに、Sobolev の埋め込み定理を常用するため、非線形の指数減衰の遅い解は函数解析的に捕らえることは難しい。 しかしながら、球対称解の範疇であれば、連立常微分方程式の解として、減衰の遅い解も捕らえることができる。即ち、原点での値を与えて、常微分方程式の初期値問題を解くことにより、解の挙動を調べることができる。解の挙動を調べるためには、解の無限遠での挙動を、Pohozaev 量と呼ばれる、ある種の Lyapunov 函数というべき量の、無限遠での符号とを対応させることを行う。これは、単独方程式の場合には、既に行われていたことであるが、それを連立方程式に拡張する。そして、Pohozaev 量が、原点からの距離に応じてどのように変化するのかを調べる。 連立方程式の解は符号変化するこなら、 Pohozaev 量は無限遠では正であることが示される。また、Pohozaev 量が無限遠で負の場合は、連立方程式の解は、符号変化を起こさず、しかも減衰が遅いことが示される。これらの Pohozaev 量の基本的な挙動を明確にした後、ポテンシャル関数の挙動と、遅く減衰する解の存在するような非線形べきの指数との関係を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍で停滞した研究に関する意見交換の減少により、研究の進捗が悪くなってしまった。この遅れを未だ取り戻せていない。また、Choquard 方程式系に関しての線形化問題の研究がまだ系統立ててできているとは言いがたい状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、引き続き Choquard 方程式系にポテンシャル項がついた連立楕円型偏微分方程式の解の構造について研究を行う。研究業績の概要で述べたように、この方程式系には、変分的手法(函数解析的手法)が適用できるが、この解は減衰が速い解になる。減衰が速い解の球対称解の立場からの考察を行う。これは、Pohozaev 量の挙動が、減衰が遅い解とは異なることを用いて、存在、非存在を述べることができると判断している。また、単独方程式の場合、速く減衰する解は、「孤立」していることがよくあるので、 Choquard 方程式系の、速く減衰する解の周りでの線形化問題を考え、どのような状況になっているかを考察する。 これらの目標の達成のため、国内外の研究者を招聘したり、訪問したり、あるいは、京都大学数理解析研究所などでの研究集会に参加するなどして意見交換を行い、さらに、新たな知見を、書籍を購入するなどして手に入れ、研究を推し進める。
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