配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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研究開始時の研究の概要 |
消散項を持つ種々の双曲型・分散型方程式に対し, 調和解析学的手法によって解の時間大域的な挙動を同定する方法論の確立を目指す. 特に, 解の拡散現象の精密化となる高次漸近展開と, 分散性を用いた解の平滑化効果を併せて用いることで, 似ているとされる方程式間の解同士がどのように異なっているのかを定量的に明らかにする.また, この方法論の流体力学の基礎方程式や塑性力学の諸法則への応用も考えたい.
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研究実績の概要 |
最終年度である今年度は, 薄い粘性液体層における流れや非線形の弾性梁の振動を記述する, 粘性項を伴う非線形 Boussinesq 方程式に対して, 解の挙動を考察した. 空間変数が2次元で非線形項が4次であるときに線形解から導かれる時間減衰と非線形項の時間減衰が釣り合う臨界となる. この状況も含む形で優臨界と臨界の場合を扱い, 小さい初期値に対する時間大域解の構成, 及び最適な時間減衰評価の導出に成功した. 優臨界の場合には線形解の時間減衰に基づいて自然な関数空間での解の構成を行う. この場合は空間変数が2次元であっても非線形項による増幅が初期値を十分小さくすることで抑えられる. 一方で, 臨界の場合は2次元特有の時間増大するノルムを制御するため, 解空間となる関数空間に新たにノルムを加える修正が必要となる. この修正が要点であった. 研究期間全体を通じて具体的な, 消散項を含む双曲型及び分散型方程式の解の大域挙動について, 前半は漸近形, 後半は時間大域的な平滑化評価式を中心に, 独自の知見が得られた. 当初の目的とはやや異なった方向性となったが, 消散項があることに特化した成果である. 特に構造的消散項を持つ弾性波方程式に対して, 各成分ごとに精密な時間減衰評価を得る手法を確立したことと, 準線形強消散型弾性波方程式に対して平滑化評価式の観点から非線形項に応じた違いを定量的に示したことはあまり指摘されていない着眼点で, 今後大いに進展が期待できる.
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