研究課題/領域番号 |
19K03605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12030:数学基礎関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 (2022-2023) 東海大学 (2019-2021) |
研究代表者 |
岩尾 慎介 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 准教授 (70634989)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ボゾン・フェルミオン対応 / ヤング盤 / 対称関数 / 旗多様体のK理論 / シンプレクティック旗多様体 / Kピーターソン同型 / Young盤 / トロピカル数学 / 可積分系 / 非可換シューア関数 / 対称多項式 / グロタンディーク多項式 / ボゾンフェルミオン対応 / 組み合わせ論 / 超離散可積分系 |
研究開始時の研究の概要 |
トロピカル数学とは,通常の数学における「掛け算と足し算」を,「足し算とmax演算」に置き換えて作られる数学のことである.21世紀に入って,トロピカル数学の考え方を利用することで,これまでとは全く違う方法によって,数学応用上興味深い問題を証明できることが明らかになってきた.本研究では,この新しいトロピカル数学を,「可積分系」と呼ばれる古くから研究されている微分方程式の理論と組み合わせることで,「ヤング盤の組み合わせ論」という数学上の問題の解決に取り組む.
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研究実績の概要 |
通常の代数の仕組み(足し算・かけ算)を組み合わせ論的代数の仕組み(max演算・足し算)に置き換えることで構築される数学理論を、「トロピカル数学」という。組み合わせ論の分野で知られてきた様々な知識や結果を、トロピカル数学の視点から再構築し、新しい文脈からとらえなおすことで、新たな数学的知見をもたらすことができる。本研究では、組み合わせ論・対称多項式理論・表現論の分野で重要な「ヤング盤」と、ヤング盤にかかわる「組み合わせ論的操作」の問題をトロピカル数学を用いて解釈し、新たな分野を拓くことをテーマとする。 本年度は、トロピカル数学とかかわりの深い「超離散可積分系」の技法を、対称多項式理論と組み合わせた。旗多様体のK理論を記述するのに重要な「グロタンディーク多項式」と、関連する対称関数(双対グロタンディーク多項式・マルチシューア関数)の代数的な公式の導出や、組み合わせ論的な構成を行った。その結果、以下の成果を得た。 (i) 対称関数の一つであるマルチシューア関数の自由フェルミオン表示を得、それを利用してマルチシューア関数の展開公式を導出した。また、マルチシューア関数に「非可換シューア関数」が自然に作用することを証明し、「随伴作用素」の作用を組み合わせ論的にあらわす表示を得た。(ii) 標準グロタンディーク多項式の自由フェルミオン表示を得た。これを利用して、押し出し作用とブロック作用をもつTACEPの非可換シューア関数による解釈をえた。(iii) K-ホモロジーシューベルト計算で用いられる閉k-シューア関数が、k-カタラン関数を用いて記述できることを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度には、本研究の目的に沿う以下(i), (ii), (iii)の成果を得ることができた。これらはそれぞれ査読付き学術論文として出版されており、おおむね順調に進展していると考える。(i) 自由フェルミオンとマルチシューア関数に関する研究。(ii) 自由フェルミオンと標準グロタンディーク多項式に関する研究。(iii) 閉k-シューアカタラン関数と、旗多様体のK理論的シューベルト計算に関する研究。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、得られた研究成果の発表を実行する。現在、「K理論的ピーターソン同型」に関する新たな研究成果がまとまりつつあるため、学術論文として発表するための準備を進めている。加えて、海外国際研究集会でも講演発表を計画している。
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