研究課題/領域番号 |
19K03616
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
瀬川 悦生 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (30634547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 量子ウォーク / 定常状態 / 行列木定理 / 電気回路 / Comfortability / Max-Plus代数 / スペクトル散乱 / ランダムウォーク / 力学系 |
研究開始時の研究の概要 |
各辺にユークリッド長さを持つメトリックグラフ上の平面波の定常シュレディンガー方程式によって誘導される量子ウォーク(QW)モデルを提案する。このモデルはこれまで研究されてきた多くのQWのモデルを含むことができ、QWの数学的な俯瞰的描像と物理的な繋がりを発見を試みる。特に本研究ではこのQWモデルで駆動する力学系を導入しその漸近挙動からグラフの構造を読み取ることを目標にする。特に、(a)共鳴性 (b)グラフの構造と定常性・散乱方法の関係性 (c)量子探索アルゴリズムとの関係性 (d)QWの挙動の諸性質を保存するようなグラフの縮約方法と、その既約グラフの族について取り組む。
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研究実績の概要 |
定常状態に収束する量子ウォーク模型を構築した。特に、Grover walkにおける定常状態の特徴づけや、幾つかの場合における、定常状態に収束する、量子ウォーク版の混合時間の見積もりの証明を与えた。より具体的には、(1) Grover walkの拡張版であるSegedy walkにおいては、一定入力の場合、その定常状態は背後にある可逆ランダムウォークで誘導される電気回路における電流と、そのランダムウォークの定常測度の線形和で書き表されることを証明した。(2)定常状態における外部と内部グラフへの流出入の様子を表す散乱行列を明示的に与え、局所的な時間発展のダイナミクスがそのまま大域的な散乱に反映することを示し、内側のグラフの空間構造に依存せず、外部と接するグラフの表面にのみに依存することを証明した。(3) 一定入力と交代入力の場合、定常状態における内部グラフに蓄積するエネルギー(=量子ウォークの快適度)を提案し、与えられたグラフの量子ウォークで特徴づけられたある共通の性質をもつ部分フラフの属の個数を数え上げることにより、求められることを証明し、量子ウォークから動機づけられるグラフの特徴量を与えることができた。(4) グラフを有限パスに特化した場合の、定常状態の相対確率の極限定理を与えた。(5)定常状態に収束する量子探索アルゴリズムの提案をし、完全グラフの場合の収束速度と、瞬間的最大発見確率になる時刻の見積もりを導出した。(6) 光学偏光素子を用いた、この量子ウォークの実装法のデザインを構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の第1ステップである定常状態に収束するモデルの構築は、量子ウォークの共鳴性を利用した、外部からの流出入を伴うものを考察することで、達成された。そして、第2ステップでは、Grover walkにおける定常状態の特徴づけも、一定、もしくは、交代入力の場合については、電気回路とその背後にあるランダムウォークの定常測度を用いて、表されるという意味では、限定的ではあるが決着がついた。また、第3ステップにおいて、定常状態に収束する量子探索モデルの考案をし、完全グラフにおける、定常状態への収束のスピードと、マークされた頂点の瞬間最大発見確率を見積もることで、発見確率が最大になるO(N^(1/2))時刻を逃しても、定常状態でも十分大きな発見確率が得られる、保証付きの量子探索アルゴリズムを提案することができた。第4ステップにおいては、この二つの入力に対して、内部グラフに蓄積されたエネルギーが、様々なところで現れるグラフの全域木の数え上げだけではなく、サイクルとして奇サイクルを一つだけもつような全域部分グラフの数え上げにより、計算ができることも示すことで、グラフ理論との繋がりを与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの成果は、外部からの一定入力か交代入力で行われてきたが、より一般の振動を与えた場合について考察する。特に、内部グラフに蓄積するエネルギーに関する、グラフのハッセ図を描画することができる。すると、頂点数が同じあるグラフのクラスにおいて、 一定入力(θ=0)で最上位だったものが、交代入力(θ=π)で最下位に陥落することがわかっている。そこで、この振動数をθを0からπまで連続的に動かすことにより、どのようにこのハッセ図が変化していくかについて、考える。このことにより、量子ウォークによって誘導されるより豊かなグラフの内部構造が抽出されることが期待される。特徴的な散乱の様子や量子探索を有効にするグラフの内部構造をあぶりだすことにより、これらの性質を保存するような、グラフの縮約を考案することにより、逆に与えられた量子ウォークの性質を実現するようなグラフの構築ができるように研究を進めていく。
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