研究課題/領域番号 |
19K03632
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
茨木 貴徳 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (90345439)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 極大単調作用素 / リゾルベント作用素 / 零点問題 / 近接点法 / 非拡大型非線形写像 / 不動点近似法 / ヒルベルト空間 / バナッハ空間 / リゾルベント |
研究開始時の研究の概要 |
極大単調作用素の零点を求める問題は、凸最適化問題、均衡問題等の多くの非線形問題を一般化した問題である。この問題の解への近似理論の代表的な手法に近接点法があるが、極大単調作用素の逆像から生成されるリゾルベント作用素とよばれる写像を用いて逐次的に点列を構成する。一般に写像の「逆像」の値を求めるのは容易でなく、部分問題として長年の課題であった。本研究ではこの部分問題を解決するような新しい近似理論の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は, 極大単調作用素の零点問題の近接点法に関する部分問題の解決にある.部分問題とは近接点法で点列を構成する際に用いられるリゾルベント作用素の値をどのよう求めるかという問題である.本年度は3つのアプローチでこの問題を解決すべく研究を行った.第1に,リゾルベント作用素は非拡大性を持っており,その性質の解明は近接点法の研究において重要なテーマである.ヒルベルト空間において「吸引点」の概念に着目し,写像族の視点で非拡大性を拡張する条件を考察した.この条件はのもとで2つの写像の共通不動点へのBaillonの手法とMannの手法を融合させた弱収束定理を得た. 第2に既存の誤差を利用した手法を改めて研究した.バナッハ空間においてリゾルベント作用素のもつ非拡大性であるP型,Q型,R型の3つの非拡大写像のクラスを,カッター型という視点で考察した.3つのカッター型写像に関して不動点への誤差付の縮小射影法による近似定理と得て査読付き国際誌へ投稿したが,査読者のアドバイスをいただき修正版を作成し再投稿中である. 第3に先行研究であるChidumeのリゾルベント近似法の先行研究における2つの課題の解決がある.この課題は前年度までに一気にバナッハ空間におけるQ型およびR型のリゾルベント近似法に関して強収束定理の証明のめどがついた.今年度は詳細を精査し論文を完成させ査読付き国際誌に投稿し受理された.現在は掲載待ちとなっている. 本年度は昨年度と同様にコロナ禍での影響で国際会議や国内の研究集会で参加することができなかったが,これらの3つのアプローチの研究と文献調査を中心に近接点法の部分問題を解決するための点列の構成方法に関する成果を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現時点において, 研究の達成度は「やや遅れている」と評価できる. それはコロナ禍が影響し,例年開催されている多くの国際会議・研究集会に参加できなかったか影響が大きい.対面で開催の国際会議もあったがコロナ禍における所属機関の方針に従うと,開催された国は出張ができず意見交換や情報収集が進まなかった.遠隔での実施された研究集会もあったが遠隔では思うように意見交換や情報収集が進まなかった. また,コロナ禍が続いてはいたが,脱コロナの動きもあり,両方の動きに対応するため学内業務の負担がより一層多くなり思うように研究活動に時間が避けなかったことも理由である.研究成果に関しては「研究実績の概要」にある通り,若干遅れ気味だが着実に研究は進んでいる.特に第2の成果は投稿の結果待ちが続いており,本丸である第3の成果はすでに掲載が決定しており,あと一歩ということである.今年度も脱コロナ禍が進んでいくと思われるのと,補助事業期間の再延長申請が認められたことで,より良い課題の解明へ進んでいると言えよう.
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今後の研究の推進方策 |
今年度の成果や考察を活かし,ヒルベルト空間およびバナッハ空間における近接点法の部分問題の解決への理論の構築を目標として研究を進める.今年度までに得た成果や検証をきっかけに,近接点法の部分問題の最終的な解明を行う.その際には,構造のよく似た非拡大型写像の不動点近似の研究や既存の誤差を認める近似法の研究も同時並行で引き続き研究を進めていき,外堀を埋めていくように広い視点からの研究も進める.さらに, 過去3年はコロナ禍でほとんど開催されなかったが国際会議及び国内の研究集会にも積極的に参加し研究成果の発表を行う.その際には, 関連分野の国内外の研究者たちと幅広く意見交換および情報収集をおこなう予定である.ただし,脱コロナ禍がどこまで進むか現時点で不明のため,引き続き遠隔等の対応が求められる可能性があり,その場合は遠隔での意見交換・情報収集も対応する予定である.
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