研究課題/領域番号 |
19K03653
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
戸田 幹人 奈良女子大学, その他部局等, 継続研究員 (70197896)
|
研究分担者 |
森藤 紳哉 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (30273832)
鎌田 真由美 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70749077)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 階層性 / 非平衡 / カオス / wavelet変換 / 時系列解析 / 生体分子 / 機能発現 / ラチェット / 非定常 / ウエーブレット変換 / トレンド成分 / 集団運動 / 大自由度カオス / 次元圧縮 / 分子内非平衡 / 生体分子の機能発現 / 次元縮約 / 薬理の分子機構 / 非平衡ダイナミクス / 非線形動力学 / 階層的データマイニング / 非線形非平衡現象 / 動力学的反応論 / 薬理発現 |
研究開始時の研究の概要 |
化学反応における揺らぎの重要性は、実験技術の進展によって、集団平均ではなく1分子レベルの計測が可能になることで注目されている。1分子レベルの反応過程では、分子内に非平衡性が存在する場合、エネルギー・情報の流れを伴った動力学的な効果が予想される。しかし、そのような可能性は未開拓な研究分野である。本研究はこのような動力学的効果を抽出するデータマイニングの開拓と応用を目指す。生体分子のように時空間に階層性が存在する場合、複数の階層に渡るエネルギー・情報の移動が生じる。それらを解明する階層的データマイニングを発展させ、それを応用して新たな動力学的薬理の可能性を明らかにすることが、本研究の使命である。
|
研究成果の概要 |
非定常な時系列に対し、遷移に寄与する自由度・周波数を抽出する手法としてwavelet PCAを考案し、非線形力学系の理論モデルに応用して、その有用性を実証した。また、階層性に起因する非平衡性が「詳細釣り合いの破れ」の原因となることを指摘し、DNA結合タンパク質における「アンテナ効果」の実験を良く説明する理論モデルを提唱した。さらに、分子の形のように、生体分子の機能発現に重要となる自由度の動的挙動が、振動励起によって制御できる可能性を示して、「動的誘導構造(Dynamically Induced Conformation)」と名付けた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生体分子の機能発現は、時空間階層性を持つ系の動力学であり、その機構の解明や、新たな機能の設計には、機能発現に寄与する集団自由度の挙動を理解することが必須である。我々が開発したwavelet PCAは、大自由度の大規模時系列データから、集団運動に寄与する自由度・周波数を抽出する方法であり、今後、生体分子の分子動力学データに応用することで大きな成果を挙げる事が期待できる。また、「階層性に起因するラチェット機構」というアイデアは、「動的誘導構造」と合わせて、生体分子の機能発現の研究において、根源的な視点の転換に結びつく。
|