研究課題/領域番号 |
19K03654
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
吉村 和之 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (40396156)
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研究分担者 |
土井 祐介 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (10403172)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 非線形格子 / 熱伝導 / 局在モード / 熱抵抗 / ウムクラップ過程 / ポテンシャル対称性 / 弾道的熱輸送 / 平面波 / 厳密解 |
研究開始時の研究の概要 |
カーボンナノチューブ等のミクロな系においては、マクロな熱伝導測(フーリエ則)が成立しない。近年の微細加工技術の発展に伴い、ミクロスケールでの熱伝導現象の理解は重要性を増しているが、熱伝導メカニズムは未解明のままである。ミクロスケールでの熱エネルギー輸送を担う波動現象では、物質の離散性・非線形性が重要となる。本研究では、非線形性と離散性を備える媒質に普遍的な励起構造である非線形局在モードに着目し、局在モードによる熱エネルギー輸送波の散乱特性の解明と、それに基づく熱伝導メカニズムの理解を目指す。非線形格子モデルの理論解析・数値シミュレーションによる研究を実施する。
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研究成果の概要 |
固体における熱抵抗の微視的メカニズムを、非線形格子モデルを用いて研究した。非線形格子のポテンシャルに関する2種類の対称性を定義し、それらの対称性を備える2つの特殊な非線形格子モデルを具体的に構成した。これらのモデルを用いた非平衡分子動力学シミュレーションにより、本研究で定義した対称性の存在が、熱抵抗の消失もしくは著しい低減の条件となることを明らかにした。また、熱エネルギーはフォノンにより輸送され、熱抵抗の原因の一つとして、非線形局在モードによるフォノン伝播の阻害が予想される。ここでは、対称性が非線形局在モードによるフォノン散乱に及ぼす影響を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
固体における熱輸送機構を、素過程である原子ダイナミクスに基づき理解することは、物理学における重要な課題の一つである。一方、工学においては、熱伝導を制御することで新機能・高機能材料や革新的デバイスの開発を目指す研究への関心が高まっている。その基礎学理としての熱輸送の微視的理解の重要性も増している。本研究では、熱抵抗の消失(もしくは著しい低減)の条件となるポテンシャル対称性を同定した。研究成果の一部は、熱抵抗に関する有名なPeirels仮説をダイナミクスに基づき検証した初めての結果であり、学術的意義が大きいと考えられる。また、本研究の知見は、熱伝導に優れた物質の設計にも役立つものと期待される。
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