研究課題/領域番号 |
19K03659
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
中村 真 中央大学, 理工学部, 教授 (00360610)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | AdS/CFT対応 / 非平衡定常状態 / 非線形電気伝導 / 開放系 / 輸送現象 / ゲージ・重力対応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ゲージ・重力対応、あるいはAdS/CFT対応とよばれる対応原理を用いて、現代物理学における未解決課題の一つである非平衡統計物理学の構成に対するヒントを、重力理論すなわち一般相対性理論の視点で探る研究である。具体的には、非平衡ではあるが時間変化のない非平衡定常状態の性質を、ゲージ・重力対応を用いて重力理論の枠組みで調査する。例えば、非平衡定常状態においても平衡系に対する自由エネルギーと類似のものが存在し得るかどうか、もし存在する場合はその条件は何か、またそれをどのように計算したら良いのか、といった問いについて、重力理論側のハミルトニアンの振る舞いを調べることで解答を得ることを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は電場駆動型非平衡相転移の解析と臨界指数の計算をゲージ・重力対応のD3-D7模型を用いて計算した。また、ゲージ・重力対応における非線形応答の新しい計算手法を開発した。さらに、開放・散逸系での自発的対称性の破れと共存異常の研究、差動回転系におけるスピン輸送の研究も実施した。さらに、散逸環境下におけるトンネル効果、熱浴中を移動する部分系の相転移などについても研究を行った。ゲージ・重力対応においてワイル半金属を表現するモデルも構成した。 ゲージ・重力対応のD3-D7模型を用いた電場駆動型非平衡相転移の研究においては、新たに非平衡臨界点を見出した。新たに発見された電場駆動型非平衡相転移における臨界指数として、β、δ、γの計算を行った。これらの値はいずれも標準的ランダウ理論の値と一致した。この成果はJHEP 03 (2023) 173として学術誌に掲載された。 また、非線形応答の新しい計算手法については、重力理論側の解に正則性を課す上で、その効率的な方法と条件を見出した。この研究成果はarXiv:2303.02633 [hep-th]にプレプリントとしてアップロードするとともに、学術誌に投稿を行い、現在、掲載審査中である。 また、開放・散逸系での自発的対称性の破れと共存異常の研究では、感受率を1-loopのオーダーで計算し、南部・ゴールドストーンモードの寄与による共存異常の振る舞いを確認した。現在は、ヒッグスモードの寄与も含めた計算を遂行中である。またスピン輸送の研究においてはスピン流の新たな起源を見出し、論文を執筆中である。 散逸環境下におけるトンネル効果の研究では、計算の中核となるインスタントン解を数値的に得た。また熱浴中を移動する部分系の研究では、新規な非平衡相転移に関する予備的なデータを得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主題に基づく複数の研究を進めることができている。非平衡相転移の研究においては新たな相転移現象を見出すに至っている。また、基礎的な計算段階にある研究テーマにおいても計算手法の確立がなされ、このまま研究を遂行することで具体的な成果につながるものと期待できる。非線形応答の研究では、新たな計算手法が確立したため、この手法を応用した新たな研究への発展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、非平衡相転移および非平衡定常状態の有効理論に関する研究、非平衡定常状態の安定性解析、非平衡定常状態における相関関数の計算、ゆらぎと応答の関係などの非平衡系の基本的な問題に関する研究を遂行していく。加えて、散逸環境下でのトンネル効果やスピン輸送に関する研究を進めるとともに、場の理論における繰り込み群の手法も活用する。特に繰り込み群の視点をゲージ・重力理論の枠内に翻訳することで、重力理論側での繰込み群の解析により臨界指数を計算することを試みる。このような研究により非平衡相転移を記述する有効理論に関する知見を深めるとともに、非平衡定常状態の基本的な性質を探っていく予定である。
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