研究課題/領域番号 |
19K03662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
田中 秋広 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (10354143)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 位相的場の理論 / ベリー位相 / Lieb-Schultz-Mattisの定理 / 非線形シグマ模型 / 量子スピン系 / スピンパリティー効果 / トポロジカル場の理論 / Dzyaloshinski-Moriya相互作用 / 磁性ワイル半金属 / カイラル磁性体 / 量子渦 / 量子統計 / 双対変換 / 保護されたトポロジカル相 / ハルデインギャップ相 / トポロジカル項 / 基底状態波動関数 / エンタングルメントスペクトル / LSM定理 / 半古典有効作用 / SPT状態 / ゲージ理論 / トポロジカル物質相 / エンタングルメント |
研究開始時の研究の概要 |
位相的場の理論(TQFT)は,時空の境界条件の変化に対する系の応答を容易に調べることができるなど,通常の場の理論にない著しい柔軟性がある.そのため,数学的色彩の強さのためこれまで物性論への適用は限定的であったものの,ひとたび具体的な物理系の記述に結びつけば有利な性質を多く内包する.特に系の大局的なトポロジーの情報を反映した秩序や量子エンタングルメントを特徴とするトポロジカル物質相には強力な道具となり得る.本研究は抽象的な一般論を目指さず,個々の物理系の有効理論やゲージ場応答等がTQFTとしてどのように記述できるのかを明確にし,物理的な応用を探求する.
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研究成果の概要 |
二つの主要成果を概観する。1) 反強磁性量子スピン鎖に対するLieb-Schultz-Mattis(LSM)の定理と、Haldaneによる半古典理論の間の密接な関係を示した。(後者は本研究の目的のためには実用上、一種の位相的場の理論として簡便に扱える。)この結果、数学的な色彩を近年強く帯びるようになったLSM流の議論に対し、スピンベリー位相を前面に出した物理的な描像を与えることが(少なくとも量子スピン鎖に関しては)可能となった。2) 強磁性量子スピン鎖において、ハルデインギャップ現象と多くの類似点を持つ新規スピンパリティー効果を見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
反強磁性スピン鎖のハルデインギャップ現象は近年「対象性に保護されたトポロジカル相」のひな形として新たな意義が見出され、量子計算など周辺分野にも波及効果を示している。その解析にLieb-Schultz-Mattisの定理や、トフーフト量子異常などの道具立てが威力を発揮するが、これらは数学的・抽象的色彩を帯びるという側面も持つ。本研究では、スピンのベリー位相を前面に出した物理的な描像からも(位相的場の理論という視座を介して)同種の情報をひき出すことが可能であることを見出した。スピンベリー位相は例えば多成分の複合秩序変数にも一般化ができることから、本アプローチのより広範な系への拡張が期待できる。
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