研究課題/領域番号 |
19K03673
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
|
研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
中村 和磨 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (60525236)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 第一原理計算 / 熱力学状態図 / 三元系化合物 / フォノン計算 / クラスター展開法 / クラスター変分法 / 水素吸蔵合金 / 自由エネルギー |
研究開始時の研究の概要 |
物質相の自由エネルギーを非経験的に計算し,熱力学状態図と物性を評価するための第一原理計算スキームを構築する。工業的重要性の高い金属水素化物に焦点を当て,二元系水素化物 Ti-H 系,Mg-H 系,Ni-H系,Nb-H 系,Zr-H 系,Pd-H 系等の状態図作成を行う。また,これらの物質の圧力下での状態図を計算する。物性評価を目的として,水素化物特性解析の基礎である圧力・組成・温度曲線 (PCT曲線) を計算する。得られた状態図および PCT 曲線を実験と比較し,計算スキームの妥当性を検証する。計算で採用される交換相関汎関数やフォノン非調和項の結果への影響も検証する。
|
研究成果の概要 |
第一原理計算を用いて遷移金属水素化物 TiH の熱力学状態図の作成を行った。ギブス自由エネルギーは,エンタルピー項,フォノン項,固溶エントロピー項の三つからなり,これらを第一原理計算より評価した。エンタルピー項は金属の空隙サイトに水素を部分的に挿入させた構造を大量発生させ,各構造に対して第一原理計算を行い評価した。これらの構造に対してクラスター展開およびクラスター変分法を用いて固溶エントロピー項を評価した。第一原理フォノン計算より自由エネルギーへのフォノン寄与を評価した。この自由エネルギーに対する拡張正則溶体モデルを構築し熱力学状態図を作成した。実験と比較し良い一致を得た。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
金属水素化物の熱力学状態図の作成は,水素脆化の原因究明,新規水素吸蔵合金の探索など,工学的実用性において重要である。これまで状態図作成は実験主導であり,経験的アプローチに基づいて研究が進められてきた。本研究では,第一原理計算による物質の熱力学状態図の作成を行った。第一原理計算に基づくと,熱力学的状態の安定性に関わる各項を個別に評価できるため,相の安定性起源に関する微視的理解が得られる。実験状態図を定量的に再現できる第一原理状態図が得られれば,実験結果の解析において威力を発揮するだけでなく,理論手動で物質・材料設計をリードすることも可能となる。
|