研究課題/領域番号 |
19K03676
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
末松 信彦 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (80542274)
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研究分担者 |
小田切 健太 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (20552425)
池田 幸太 明治大学, 総合数理学部, 専任准教授 (50553369)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 自己駆動粒子 / 環境応答性 / 走化性 / 確率微分方程式 / 界面化学 / 確率統計 / バイオミメティクス / 統計力学 |
研究開始時の研究の概要 |
自走粒子の集団に現れる巨視的な秩序パターンは、粒子の運動および粒子間相互作用に基づいて、単純な数理モデルを用いて説明されている。その理論の普遍性を示すように、無生物系の自走粒子でも集団運動が再現されている。また、大腸菌のようにrunとtumbleを周期的に繰り返すような複雑な挙動を示す自走粒子の集団運動についても理論的な研究が進められている。その一方で、対応するようなモデル実験系の構築が求められている。本研究では、runとtumbleを繰り返す間欠運動を示す自走粒子を用いて、運動モードや個体間相互作用の環境応答性を明らかにし、集団運動の実験研究を推し進めるためのモデル実験系の構築を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、バクテリアにみられる走化性戦略を実装した無生物系を構築し、その背後に潜む普遍的な仕組みを明らかにすることを目指して研究を行った。これまでに、水面を自発的に滑走する固体粒が水相中の物質と化学反応すると、バクテリアのrun-and-tumbleに似た特徴的なふるまいをすることが知られていた。そこで、水相中に反応物の濃度勾配を作り、固体粒の存在確立の空間分布を実験的に調べ、バクテリアと同様にrunの期間が長い方に優位に集まることを明らかにした。さらにその挙動を説明する単純なランダムウォーカーモデルを構築し、さらに数理的に定常状態を求め、走化性の普遍的な仕組みを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自己駆動粒子の開発は近年様々な物質で行われ、種々の機能が実現されてきている。その中で、走化性をはじめとする環境応答性は最も重要な機能の一つである。これまでは、外部環境の優位な勾配に決定論的に応答する系が多く開発されてきたが、系が小さくなると、勾配の影響が小さくなるため、バクテリアで実現されているような確率的な応答が求められる。今回、我々が明らかにした実験系はバクテリアの走化性にみられる戦略をうまく再現しており、その実装可能性を示すことができた。今後、ドラッグデリバリーシステムのように、自発的な環境応答性が求められる場に対しての応用が期待される成果である。
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