研究課題/領域番号 |
19K03680
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
古崎 昭 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 主任研究員 (10238678)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 対称性 / LSM定理 / 量子スピン模型 / 脆いトポロジカル絶縁体 / トポロジカル超伝導体 / ジョセフソン効果 / マヨラナ・フェルミオン / トポロジカル結晶絶縁体 / トポロジカル結晶超伝導体 / アクシオン絶縁体 / スピン軌道相互作用 / トポロジカル相 / トポロジカル絶縁体 / トポロジカル超伝導 / 量子相転移 |
研究開始時の研究の概要 |
結晶の空間群対称性と電子間の相互作用を考慮して、対称性によって守られたトポロジカル量子相を特徴づけ分類する基礎理論を発展させる。電子相関の強い系に対して、空間対称性と内部対称性で守られた(高次)トポロジカル相の模型を構築し、その物性を解明する。さらに、ギャップレスのディラック電子に対する電子相関効果を調べ、秩序相やトポロジカル相の間の量子相転移に関して新たな知見を得る。
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研究実績の概要 |
量子多体系の基底状態と励起ギャップに関するLieb-Schultz-Mattis定理(LSM定理)の一般化について考察を進めた。LSM定理が成立するための条件として、通常、1次元量子スピン模型に対して格子の並進対称性とスピン空間における連続対称性を仮定する。それらの条件を2次元や3次元格子の反転対称性あるいは回転対称性と、スピン空間の異なるスピン軸周りの180度回転の離散対称性に置き換えた場合を考え、ひねり境界条件に対するバルクの励起ギャップの安定性を仮定することにより、LSM定理がこの場合にも成り立つことを示した。 一方、上記の格子の並進・反転・回転対称性が無い場合には、量子スピン模型(量子多体系)は一般に0でない励起ギャップを持つ。すなわち、スピン空間での(離散的)回転対称性のような内部対称性を仮定したとき、ギャップレスの量子多体系に対して内部対称性を保ったまま適当な摂動を加えると励起ギャップが開くはずである。このような摂動として許されるものの数(ギャップ指数)について考察した。ギャップレスな励起をもつ量子スピン模型として反強磁性ハイゼンベルグ模型をとったとき、ギャップ指数は空間次元に等しいことを示した。これは、隣接スピンがダイマー・シングレットを組んでギャップが開いた相への摂動の数である。 また、回転対称性と時間反転対称性によって守られたディラック半金属にs波超伝導秩序を誘導した相に対して、磁場中で生じる磁束中の準粒子束縛状態のスペクトルについて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結晶格子のもつ空間反転や回転の対称性のもとでの量子多体系(量子スピン模型)に対して、量子多体系の基底状態に関するLieb-Schultz-Mattis模型の一般化について新しい結果を得ることができた。さらに、結晶対称性の条件を緩めることによってLieb-Schultz-Mattis定理で保証された0ギャップ(あるいは基底状態の縮退)の性質がなくなり、ギャップの開いた可逆相(トポロジカル絶縁体もその一種)になる場合に対しても、相図のトポロジーに関して理解が進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
トポロジカル絶縁体等の対称性によって守られたトポロジカル相(および可逆相)について、対称性で許されるハミルトニアンの集合の中でその相を特徴づけるホモトピー群に関する考察を進める。 結晶の対称性(回転対称性等)と時間反転対称性によって守られた、スピンレス・フェルミオンの脆いトポロジカル相について、パラメータを変えたときのトポロジカル相転移について調べる。 トポロジカル超伝導体に対する不純物効果について再検討を行う。
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