研究課題/領域番号 |
19K03682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
谷口 伸彦 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (70227221)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 熱電現象 / 量子ドット / 量子熱力学 / 非平衡 / ナノ量子系 / 量子輸送 / 量子熱機関 |
研究開始時の研究の概要 |
熱力学極限(バルク多体系)の対極に位置するナノ量子系(微小少数系)では、必ずしも従来の熱力学法則が成立する保証はなく、量子理論に基づく熱力学の構築が要請される。本研究課題は、エネルギー変換素子(熱電素子)として有望なナノ量子構造系で起こる非線形熱流・熱電輸送現象の特性を解明すると同時に、その熱電現象をより高い見地から統一的に理解するナノスケールの「非平衡量子熱力学」の構築と展開を行う。
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研究成果の概要 |
ナノ量子系は、近年、電極間に電位差と温度差をかけることで、熱⇔電気のエネルギー変換を行う熱電素子として有望視されている。本研究課題では、ナノ量子構造系の熱電特性を向上させるための方策として、系の量子コヒーレンス制御が極めて有用であることを微視的理論解析により明らかにした。量子ドット系・微小ナノリボン系を量子制御することで、熱効率・出力パワーを最大5~10倍に向上可能である。 ナノ量子系の熱電現象の理解には量子論に基づく熱力学が必要である。単一準位ドット系の「ナノ系非平衡量子熱力学」を展開することで、非平衡定常状態間の一般仕事散逸を最小化する最適駆動と熱力学的距離との関係が明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
微細構造技術の進歩に伴い、ナノ量子系をデザインすることが可能となったものの、いかなる構造のナノ系が、エネルギー変換素子として優位性をもつかは必ずしも明らかでなかった。本研究の学術的な意義は、ナノ量子熱機関の開発において、量子コヒーレンス制御が熱電特性の向上に極めて重要である点を明らかにした点である。同時に具体的なナノ系非平衡量子熱力学の解析により、最適駆動に関する知見を得ることができた。将来的には、本課題の成果を利用したエネルギー変換技術の開発を進めることで、エネルギー効率の向上と従来の熱機関が利用できなかった状況での利用を可能とし、持続可能な社会を実現することが期待される。
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