研究課題/領域番号 |
19K03685
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13020:半導体、光物性および原子物理関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木下 俊哉 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (80452259)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | ボース・アインシュタイン凝縮 / 光格子 / アンチドット光格子 / ボース・ハバードモデル / アンチドット格子 / アンチドット / ジョセフソンアレー / コスタリッツ・サウレスクロスオーバー / アンチドット型光格子 |
研究開始時の研究の概要 |
柱状のドットが多数配列し、エネルギー極小が多重連結したアンチドット型光格子中に、ボース凝縮体を誘導する。本研究では、アンチドットの高さ、サイトあたりの原子数、次元性、系の温度、原子間相互作用の強さなどを制御し、これら種々のパラメーターのもとでいかなる相が実現しうるのかを、物質波干渉パターンや運動量分布の観測を通して実験的に探索し、相図を確定させる。従来の局在型光格子との本質的な差異に着目し、ボース・ハッバードモデル適用の可否あるいは適用限界を明らかにするとともに、従来の光格子では実現しえなかった相や観測できなかった現象の探索を行う。
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研究実績の概要 |
R4年度中に真空系に生じた問題は、想定以上に深刻だった。調達した新たな超高真空ポンプの下で回復を目指していたが、結果的にかなり大掛かりな改修が必要となった。R5年度初め、原子を使う実験の開始後、原子ビームのフラックスが全く足りないことが判明した。再び常圧に戻して詳しく調査したところ、原子ビーム生成用ノズル部分のキャピラリーに大量の付着物があり、それがビームをブロックしていた。キャピラリーは交換、一旦常圧に戻したためルビジウムサンプルも新たなものに交換、同じく付着物によりリークが生まれ機能していなかった超高真空バルブなどもこの際交換した。慎重に真空系を再構築し、ベーキング作業を進め、R5年冬に復旧作業が完了した。その後、ボース凝縮体が生成可能となるだけの真空度と充分な原子ビームのフラックスが得られていることを実験で確認した。 真空系の改修と並行して、高出力レーザーの性能アップと各種光学系の準備を行った。前年度に増幅用レーザーのビームラインを改良して、光ファイバー透過後のレーザー光のパワーを改善することに成功していたが、今回、増幅用レーザーの負荷を軽減させながら、より大きな出力パワーを得ることができた。これによって、より長期にわたり安定した利用が期待できる。 改修した真空系と光学系のもとで、R5年冬より原子を使った実験を再開した。元々本研究では、レーザーによる原子冷却と光による捕獲を4段階ほど行ってボース凝縮体を生成していたが、各段階において、達成された冷却温度と原子数が、故障前と比較してほぼ変わらないことを確認している。特に、最終段階である近赤外光による圧縮型2重光双極子トラップ内へ以前と同数程度の原子数を誘導できたことは大きな進歩である。これにより、ボース凝縮体の高速生成とアンチドット型光格子の研究を推進できると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
この数年間トラブルだった真空系は、真空ポンプの故障に端を発したものだったが、ルビジウムサンプルおよび原子ビーム生成用のキャピラリーの交換、経年劣化した超高真空バルブの取り換え、ベーキングによる真空系の洗浄と改良など、かなり大規模な修復作業が必要となった。作業はR5年度冬にようやく完了し、すぐに原子を使った実験を再開したが、R5年度内に研究の基盤となるボース凝縮体の生成は難しく、再度延長するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ボース・アインシュタイン凝縮体生成の最終段階である圧縮型2重光双極子トラップ内での蒸発冷却を進めている。これまでに達成された原子数と冷却温度から考えると、充分な数のボース凝縮体を高速で生成することができると考えている。その後は、ボース凝縮体をアンチドット光格子に誘導し、位相コヒーレンスの研究、低次元系におけるボース気体の振る舞いに関する研究へと進む予定である。
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