研究課題/領域番号 |
19K03706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
土屋 聡 北海道大学, 工学研究院, 助教 (80597633)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 長距離電荷秩序 / 短距離電荷秩序 / 空間非一様性 / 空間非一様 / 偏光依存ダイナミクスの消失 / 有機分子結晶 / 電荷ガラス / 時間分解分光 |
研究開始時の研究の概要 |
物性物理学最大の未解決問題であるガラス転移の解明を目指し、基礎及び応用の両面から注目されている有機分子結晶で実現される電荷ガラス状態の解明を目的とします。本研究では超短光パルスにより電子系を励起することで電荷ガラス状態を一時的に破壊し、再形成される緩和過程を観測します。この再形成過程における偏光特性と温度特性から、エネルギーギャップの有無や対称性変化によりガラス状態を特徴付けることができます。
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研究成果の概要 |
本研究の最終目標である「ガラス転移の解明」に向けて、近年注目を集めている有機分子結晶の電子のガラス(電荷ガラス)を研究対象とし、光パルスを用いたポンププローブ分光により、パルス励起された電子の緩和ダイナミクスが示す偏光特性と温度特性から、電荷ガラスの性質を調査した。その結果、偏光に依存するダイナミクスに注目すると、電子の結晶(電荷秩序)では温度低下と共に信号振幅が増大するのに対し、電荷ガラスではほとんど変化しないことがわかった。これは電子結晶では、空間的に一様に電子が整列しているのに対し、電荷ガラスでは、部分的に電子は整列しているが、非常に短距離で、整列の方向も一様ではないことを示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は光パルスによる時間分解分光測定によって、従来ガラス研究の対象となってきた分子とは異なり、構造のない素粒子である電子が空間的にどのような構造を持ってガラス化するかという問題に新たな知見を与えた。また本成果はこの時間分解測定が電子ガラスの性質を明らかにする上で有効であることを示すものであり、今後本測定の特性を活かし、時間領域でのガラス化過程を調査できれば、ガラス転移の時空間構造を明らかにすることができる。ガラス転移の解明は物理学、材料工学、情報工学、生物学などの幅広い分野に通じており、その波及効果は計り知れない。
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