研究課題
基盤研究(C)
位相幾何学とは連続体を分類する概念であり、通常のトリビアルな状態とは位相が異なる幾何学的位相欠陥は古くから研究されている。空間反転対称性の破れた磁性体で観測される磁気スキルミオンは、幾何学的位相欠陥の一つである。磁気スキルミオンで系の微視的情報が得られる中性子回折を行い、現在研究が停滞している幾何学的位相欠陥の非平衡定常状態/非定常状態での動力学の解明を目指す。本研究では系を非平衡定常/非定常状態にするため定常/変動電流を用いる。そのため、それらの電流下での小角中性子回折と電圧ノイズの同時測定技術の構築を行うことからスタートする。
カイラル磁性体MnSiで観測されている磁気スキルミオンは閾電流密度 1 MA/m2 以上の電流印加で駆動することが知られている。その駆動状態及び電流変動に対する過渡過程を明らかにすべく、交流電流下の中性子小角散乱を開始した。研究の結果、電流下で駆動する磁気スキルミオンは三角格子を保ちかつ試料の端付近では塑性変形を起こしながら駆動する塑性流動が観測されてたが、塑性変形の発現には電流反転後数秒程度の緩和時間が必要であることが判明した。塑性変形で磁気スキルミオン格子中に発生する dislocation が磁気ドメイン壁を滑り、磁気ドメインの端まで動く時間が緩和時間と考えると解釈できることがわかった。
電流下で駆動中の磁気スキルミオンは三角格子を保ち試料端付近で塑性変形を起こしながら駆動する塑性流動を起こすことがわかっていたが、今回得られた研究結果より塑性変形を引き起こすには数秒の緩和時間が必要であることが判明した。これは磁気スキルミオンを高速、短時間で動かしている分には試料端付近のピニングの影響が小さいことを意味しており、磁気スキルミオンを使った記憶媒体などを実現するために必要不可欠な新しい知見を示した。
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